会津中街道を歩く

  大峠から麦飯坂下まで            H14,6,9
 栃木県内の会津中街道も、板室から北は交通の便が非常に悪く、なかなか歩く機会が
無かった。丁度そんなときに山岳会の例山行が、井戸沢に計画された。リーダーに下山
のコースは と聞くと大峠ですよ!と答えが返ってきた。
この計画に便乗することにした。井戸沢の沢登りも、予定通り終了。流石山から大峠ま
で駈け下る。花の時期にはすこし早いので、花の群落は期待出来ない。
大峠は海抜1468m 分水嶺となっており栃木県に降った雨は、すべて太平洋に流れる。
戊辰戦争の時は、会津軍が塹壕を掘り戦場となったこの峠も、強者どもの夢の後
静かに首のない6地蔵が建っているだけである。これから歩く沼原が尾根の向こうに
見える。道はジクザクに峠沢に下っていく。ネマガリダケが覆い被さりあるきずらい。
途中タケノコ採りに勢をだす。この道は夏も冬も歩いた道だが、冬はラッセルが大変で、
正月の山は泣いたものだった。昔の歌に(寒い寒いよ 会津の風は、野際峠を越すからに)
とあるが、本当に大変だった。峠沢を飛び石伝いに渡る。間もなく三斗小屋温泉の
 分岐になる。右は会津中街道の本道で、三斗小屋宿に至る。振り返ると木々の間から
大峠が眺められる。歩く人が少ないせいか道は荒れ放題 背丈以上のネマガリタケが
道を遮り コースの整備を痛感する。ここは熊のテリトリー、クワバラクワバラ
 中ノ沢を渡る。この沢の上流には湯元があり、水は飲用には適さない。
カレ沢を渡ると道が広くなる。この付近を壁坂と言う、周りは唐松林が植林され歩きやす
い。大きくカーブして 下っていくと苦土川の河原に出る。飛び石伝いに渡るが、水量が
多いと渡渉に苦労するところだろう。間もなく焼野だ、三斗小屋宿の人たちが(カヤバ)と
して色々利用していた。井戸沢のゴーロに出る、すこし上流に行った所に、三斗小屋宿の
水場の取り入れ口がある。井戸沢を渡ってから急斜面を登り、林の中を行くと、三斗小屋
温泉からの、道に出る。白湯山神社の鳥居を過ぎると三斗小屋宿である。
道路の中央には、井戸沢からの水を流した水路があり、大日如来像 数基の常夜灯等
昔を物語るものが沢山ある。ここは白湯山信仰で賑わい、お祭りには、1,000人もの
参詣者が集まったという。常夜灯の一つには、矢板市伊佐野村の寄進名がある。

 明治元年には戸数14戸があったが、戊辰戦争で、戦場となりすべて焼失
昭和32年廃村となった。
 林の中を下っていくと、戊辰戦死若干墓の石碑があり、六地蔵とともに三斗小屋宿の
墓地がある。砂利道に足を取られながら下っていくと、分岐点に自然石の 右 やまみち
 左 板室みち の道標が立っている。水音が高くなると苦戸川の本流となる。
 麦飯坂の登りについては次回とする。