地 域 研 究

高原山をめぐる温泉

                      

                       (五万図、塩原)

  高原山のすそ野には、塩原、鬼怒川、川治を始めとして数多くの

 温泉や鉱泉が散在している。ここでは、鬼怒川および川治温泉を除

 いた残りの温泉と鉱泉について、その概要を述べてみたい。なお、

 塩原温泉については北沢が、その他についてほ小林が執筆を担当し

 た。

 1. 塩原の湯

   塩原温泉とは、箒川沿いに点在する温泉群の総称て、これら温

  泉は、那須や奥日光等と共に那須火山帯に属するものてあり、そ

  の意味では北海道の登別や東北の酸ヶ湯、蔵王らとも兄弟である。

   塩原温泉の周艶には北に男鹿山塊、西に尾頭峠、南に高原山の

  一五〇〇〜二〇〇〇mの山岳が聳え、東は那須原台地が開けて

  いる。また東北新幹線や東北ハィウェーらにより、首都圏より近

  く小旅行に適しており、年間一〇〇万人程度の宿泊客がある。

   塩原温泉は古来より塩原十一湯と呼ばれており主な源泉が十一

  ある。これらを図−1に示す。また、それらは泉質が異なり、そ

  れぞれに効能がある。これを表−1に示す。

   最近の観光客の求めるものは、酒を飲んでドンチャン騒ぎをし

  て、風呂に入るというパターンがすたれ、自然に親しみ小鳥のさ

  えずりを聞き、木々の緑や紅を見ながら、又は星空に驚きながら

  露天風呂に入るというパターンに変りつつある。この動向をいち

  早く掴んだ者が温泉産業の勝利者となるわけであるが、ここ塩原

  には、そんな露天風呂が数多くある。もちろん主だった旅館には、

  それぞれに趣向を凝したものがあるが、本文では、誰もが気軽に

  入れる温泉を紹介する。

      【表−1】

温 泉 名 泉 質 適応  B:浴用  D:飲用













尿



便
大網 芒 硝 泉  
福渡、塩釜、門前 食 塩 泉      
塩の湯、畑下、古町 単 純 泉              
甘湯 重 曹 泉    
中塩原、新湯、元湯 硫化水素泉    
  

 (1)大網の "岩間の湯″″河原の湯″ 写真(1)

   このあたりの箒川渓谷はX字谷に切れ込んで巨岩が重り合つ

  ている。国道より三〇〇段程の石段を下ると二つの露天風呂が

  ある。更に途中には女性も安心して入れる囲いのある露天風呂

  がある。料金は三〇〇円である。


 (2)福渡の”不動の湯″″岩の湯″ 写真(2)(3)

   大網より自然遊歩道を二Km程歩けば、途中衣滝の勇壮な姿を

  見て、不動沢のせせらぎの脇に不動の湯を見つけ出す。ここの

  露天風呂はやや微い感がある。しかしながら、季節なら「初夏」

  新緑のころがいちばん美しい湯である。

  更に三〇〇M歩けば箒川に架かる吊橋の脇に最も有名な岩の

  湯がある。湯舟は深く、足もとの砂の間から湧き出る湯は熱い。

  このあたりの箒川はアユやヤマメ釣りのメッカで、それらを見

  ながらの風呂はまた一風である。

   福渡の湯は原則として一〇〇円の管理費を納める事となって

  いる。

 (3)新湯の″むじなの湯″″寺湯″″中の湯″ 写真(4)

   この三湯は残念ながら露天ではないが、中の湯以外は入口が

  別でも、中は混浴なのが嬉しい。新湯は塩原の中心街から高原

  山に向って国鉄バスで約二〇分、ここに降るとプーンと硫化水

  素の匂いがただよってくる。お湯はいかにも温泉らしく白く濁

  っている。ここは冬、雪のなかに、もうもうと立ちこめた湯気

  が美しい。

  入場料金は料金箱があつて一〇〇円を入れる。

   またここは自然遊歩道の終点で、大網や福渡から遠々三〜五

  時間余、途中に大沼や富士山があり、山菜やキノコやクリが多

  く採れる。


 2. 塩原以外の温泉・鉱泉

 (1)寺山鉱泉 写真(5)

   最近新築された二階建ては、この山の中には似合わない風景

  である。赤滝、小滝、赤山と並ぷ鉱泉であるが、一番南に位置

  し、内川沿いの小道を行けば、赤滝までハイキングが出来る。

  杉林の山道を二〇分ほど登ると寺山観音寺に行ける。寺の境内

  は、夏でもすずしい。うっそうとした大木の中に、重要文化財

  に指定されている千手観音像が、ケヤキ造りのお堂の中にある。

  六〇年に一度の開帳で、次回は二〇二四年に開帳される。なお

  寺山観音寺の南にある宮川にダムが建設された。これから、県

  民の森と共に観光の目玉になり行くものと思います。

   矢板市長井 TEL・〇二八七四−三−三七七三

         一泊二食 五、五〇〇円

         自  炊 二、五〇〇円

 (2)和田山の湯 写真(6)

   矢板から塩原へ向つて車を走る時、高原山の雄大な裾野が箒

  川に落ち込む様な場所に和田山の湯がある。関谷の町に入る手

  前に、箒川にかかる堰場橋がある。和田山の湯へは、この橋の

  たもとから上流に向つて山沿いの道があり、この道を五分ほど

  行くと、右手の林の中に小さな和田山の湯がある。レジャーセ

  ンターをかねて作られたが今はさびれて温泉だけである。この

  上流には塩原ダムがあり退屈な時は、散歩がてら出かけられる。

  一泊二食五〇〇〇円、日帰りだと五〇〇円です。お湯もボイラ

  ーで沸かすらしく、暖かくなってから来て下さいとの事。収容

  も二〇名ですので、お酒を飲まない人に好まれそうである。

    TEL 〇二八七三−五−二七〇一

 (3)小滝鉱泉 写真(7)

   赤滝鉱泉の下流五〇〇mの所にあり、車で行く時は赤滝鉱泉

  の入口から入り、すぐ左手の山道を行き、谷底、終点が小滝鉱

  泉である。人里離れた一軒宿であるから、一人で行くと夜中に

  泣き出したい様な衝動にかられるかも知れない。お風呂に入る

  か、読書をするか、昼寝をするかは、あなたが選んで下さい。

   矢板市平野 TEL・〇二八七四−三−〇九四一

          一泊二食  五〇〇〇円

          終日入ると 一五〇〇円

  好きな人と誰にも気がねなく、過とせる穴場的な場所だと思い

  ます。

 (4)赤滝鉱泉 写真(8)

   矢板市を起点として、八方ケ原道路が塩原温泉へと通じてい

  るが、赤滝鉱泉は、この八方ケ原道路よりすぐに着けると云う

  場所に湧いている鉱泉である。道路からは谷底に向つて急な道

  を下った所に、古ぼけた旅館が建っている。両側を山にかこま

  れた様な所で、一日のうち太陽の光は数時間しか恵のない静か

  な宿である。この宿の上流には、落差二〇mほどの滝があり、

  名前も滝から取っている。湯は鉄鉱泉のため赤茶けた色になる

  が、身体はあたたまる。湯治客が多いが静かさが御馳走なので、

  たまにはのんびりとしたい鉱泉である。近くには県民の森も出

  来たので、足場にするにも良い場所かも知れません。

  矢板市平野 兵庫畑から歩いて五〇分

      TEL・〇二八七四−三−〇九四〇

        一泊二食 五、五〇〇円

        自  炊 二、五〇〇円

 (5)鳥羽の湯 写真(9)

   交通の便は、一番良い鉱泉で宇都宮、矢板とも玉生のりかえ

  で旅館前まで来ることが出来る。県民の森のおかげで静かさは

  無くなつて来たが、一軒宿の淋しさはない。旅館の前は東荒川

  の河原であり、その昔、猿が谷の向うから渡ることが出来たと

  云う。岩場は猿ツタイ岩と云われている。旅館は収容二〇名と

  小さいが、お風呂は朝から入れるし、一泊二食四七〇〇円、日

  帰だとAM九・〇〇〜PM五・〇〇まで「二〇〇円だそうです。

  のんびりしたい所です。

 (6)風見温泉 写真10
   ヘルスセンターの様な内容の温泉で、廻りは水田ばかりの場

  所である。塩谷町風見にあり、関東バス風見停留所下車十五分。

  大正末期に発見された治療温泉です。今はわかし湯で、一泊

  五〇〇〇円(宿泊二〜三週間前に予約)、一日だと一〇〇〇円

  です。気が向いたら入湯して下さい。

    TEL・〇二八七四−六−〇〇七〇

  そ の 他

   塩谷町には、先頃、新開にも出た大当(下渡)温泉がある。

  場所、内容ともはっきりしないが、役場の話では、土曜日、日

  曜日、祭日等には、入湯出来るとのことです。
 
 (7)喜連川温泉・大田原温泉
  
   高原山からは、少し離れてしまうが、ボーリングのおかげで
  
  前記の温泉が出来た。山の帰りに入る場所ではないと思うので

  紹介だけにとどめる。