その1 ポケットGPS(注) 池上 卓男
新し物好きは親譲りである。親父は、私がまだ小学生の昭和30年代にはテ
ープレコーダを買った。カラオケなんて言葉もなかった時代である。「絶対自
分の声ではない」と、録音した自分の声を聞いて思った。(その後何に使われ
たかは覚えていない。)
真空管ラジオは小学校1年の時には親類の叔父によりインターフォン付きに
改造され、その後も今にして思えばやけにでかい「マイクロテレビ」が、いつ
の間にか家にあった。洗濯機は理由を説明しやすかったのだろうか、幼稚園の
頃にはあった。
さすが80歳近くなった親父は、今ではほとんど買い物をしなくなった。
そして「明らかに遺伝である私の無駄遣い」をたしなめている。
もう一つ思い出した。昔はどの家でもそうだったように、衣食以外で「母が
買い物をした」のを見た記憶がない。
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ここからは件の「遺伝」の話となる。
昨年夏、ポケットに入るGPSを買った。定価$99.95なり。その昔尾瀬の至仏
山でリングバンデリングを経験している私としては、カーナビが普及するずっ
と以前から欲しかった物である。もちろんカーナビは持っている。家族は思っ
ていても決して口には出さない。
「日本の山じゃそんなもん使う機会はないでしょ。ましてハイキング程度じゃ
荷物になるだけね。」
自分でも買う前からそれは判っていたが、昨年結婚25周年記念にイタリア
旅行をすることになっていて、初めての海外旅行で迷子になったら困るからと
いうことにして手に入れた物である。(ツアーなので迷子になるなんてことは
まずないのだが。それよりイタリアの地図で緯度経度が記載された物を手に入
れる方が大変だった。)
その後のポケットGPSの運命はご想像にお任せする。
(注)GPS:Global Positioning System の略語
人工衛星からの電波を利用して自分の位置を調べるシステム。初期のカ
ーナビを除き、カーナビやハンディナビは今ではこの方式が一般的である。
最近では電子手帳サイズで各地の地図が表示されるものまで売られている。
当然ながら私としては、どんな理由にしようか目下思案中である。
懲りていない? 遺伝だから・・・。
買ったのは MAGELLAN社 のGPS PIONEER というもの。国内では日本語の説
明書付きで2万円前後で売っている。今ではさらに高感度の製品が発売され
ているが、国内で入手可能かどうかは不明。国内販売の品は割高なので欲し
い人は個人輸入も試す価値はある。なんせ100ドルが2万円である。
(故障時の修理手続きや保証の問題があるが。)
【使用した感想】
1)機種名 :MAGELLAN社のGPS PIONEER(http://www.magellangps.com)
2)電池寿命:単3アルカリ電池2本で20時間以上動作
3)感度 :東京都心ではほとんど計測不可能。一昔前のカーナビ並で、現
用のアルパインのカーナビに比べ受信衛星数が2ヶ程度少ない。
樹林帯に入り上空が見えないところでも3割程度しか計測でき
ていない。しかし、尾根道では一度衛星を捕獲すると順調に計
測ができ、登録地点までの直線距離や方角がわかり行動にゆと
りが持てる。
4)操作性 :経由地点登録には地図から緯度経度を読みとる必要があり、国
土地理院の2万5千分の1の地図では結構面倒である。
私は国土地理院発行の数値地図25000
(CD-ROM)を使い緯度経度
を読みとっている。
GPS側も数値を入力するのに10キーが無く、矢印キーで順
逆送りですべての数値を入力するので、ビデオ予約の時計合わ
以上に面倒である。
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次回はストーブ(コンロ)の話です。