仙人通信L(花の山高尾山)
 ヤマルリソウを大山に見に行こうと思っていたのだが、足が高尾に向いてしまった。
日影沢のキャンプ地に駐車して高尾山山頂をめざした。キャンプ地の沢沿い一面はニリンソウである。
1分も歩かないのに、木漏れ日にニリンソウの薄ピンクの花弁が浮かぶ、シャッターを切る。
せり科のセントウソウも春を告げる。林の中では白い花弁を重そうに俯きながらミヤマカタバミが咲き
乱れる。いたる所にマムシ草の仲間のミミガタテナンショウがにょきにょきと頭を擡げている。
せせらぎの岸にはエンレイソウが数本咲きだしている。タチツボスミレが咲いている、とその間にギザ
ギザの葉に大柄で薄ピンクの花弁のエイザンスミレが花を付けている。沢沿いや日陰ではユリワサビ
の白い花がこちらを向いている。小仏峠に向かって500m位歩るくと、林道の左に登山道らしき岨道
を見つけたので、進路をとった。マルバスミレに混じり大きめのナガバノスミレサイシンが目立ちはじ
めた、日陰でありカメラにリングフラッシュを付けて100mmマクロでシャッターを切る。
陽だまりでは咲き出したばかりのミヤマキケマンがみずみずしい。小さな丸い紫色の花を足元に感じて
よく観ると大山に見に行こうとしたヤマルリソウではないか。寒い性だろうか、蕾はあるが花が少い。
近くを探してみたが3株とも同じ状態であったが、会える事に希望を繋いだ。約1時間で高尾山の山頂
に着いた。山頂は桜の花が見頃であり、お弁当を広げている多くのハイカーで賑わっていた。
城山までは約1時間である。尾根道は桜・ミツバツツジ・コブシの木々、山吹・木苺の白い花、そして
スミレの花街道である。尾根の北側の捲き道を通り歩くと、タカオ・エイザン・アオイ・タチツボの各
スミレが咲く。一丁平の近くでは15cm位の丈のイカリソウがピンクの花を付けている。5本程のヒ
トリシズカもそっと、けな気に咲いているが、殆どの人は気づかないで通りすぎて行く。
アズマイチゲがキャンプ地の近くに咲いているとの情報を貰い、城山からは無線中継所用の日影林道を
下山し探してみることとした。林道の陽だまりにはアオイ・マルバそして茎の細長いヒカゲの各スミレ
が、叉ミヤマキケマンが咲いている。林道のゲートから下ではヨゴレネコノメ・ネコノメソウが元気だ。
日陰の性であろうかシャガも白い花弁に黄色い蕊が似合う。下山して1時間位歩いたろうか、フタバカ
ンアオイが1cm程のクリーム色をしたベレー帽状の花を付けているのを発見した。群落は2箇所のみ
であった。いろはの森の近くでアズマイチゲを探したが、トウゴクサバノウとコチャルメルソウ・カキ
ドウシを見出したが出会えなかった。諦めて車に戻ろうとした時、沢の対岸に青紫の小花、満開のヤマ
ルリソウを発見した。5時間程の高尾山の散策で20以上の花と出会え40枚以上のシャッターを切る
事が出来た。たかが600mと侮るなかれ、確かに高尾はスミレをはじめとした花の山である。


     日の光を受けて咲くキケマン(h17.4.15)