仙人通信O(中信の高原)

  ニッポン放送の時報に美ヶ原高原美術館のアモーレの鐘が鳴る。冬の間、美術館は閉鎖されるため
「「ショウジョウ バカマ」の咲く、春にお目に掛かりましょ」と言うフレーズがある。
 この「ショウジョウバカマ」は薄紫色の房状の花であり目立つのだが、雪解け時期の花のため、山で
はそう見ることができない。そうそう「ショウジョウバカマ」は「猩猩袴」と漢字で書く、「猩猩」と
は、中国の想像上の怪獣で体は天狗、声は子供、毛が長く朱紅色、そして御酒が大好きと広辞苑にある。
花がちょうど猩猩の毛のように長く朱紅色であること、葉の形が蓑状の袴に似ていることから命名され
たらしい。・・・・高原美術館が宣伝しているのだから美ヶ原に行けば観ることができると勝手に判断
して、10時前に駐車場に車をとめて、30分程山頂を探した。「たんぽぽ」は咲いているが、花らしき物
は何も見当たらないので、おみやげ物店で尋ねてみたら、美術館の方だとのことなので、美術館にて開
花の2ポイントを教えてもらい探してみた。どちらのポイントも葉は成長しているものの、開花の時期
には少し早いようで綺麗に咲くまでに至っていない。早めに咲いた花は5月に入っての寒さで、霜げて
しまい見る影もない。山の花はタイミングが難しい//実感。それでも何枚か写真を撮ることができた。
有名な、あのアモ−レの鐘が11時を告げるのを生で聞いた。
つづいて八島湿原に行って見た。何もないのを承知であるが、それでも木道・浮島・周囲の芽吹き始め
た木々に期待をもった。嬉しいことに、蛙の大合唱、そしてカッコ−が唐松林の中から鳴いていてくれ
る、尾瀬にでも居る気分だ。
ところがである、先方からバス6台(駐車場で確認)に分乗した、高校1年生の大群がやって来た。
口々に「コンニチワ」の挨拶だ、こちらも挨拶をしない訳にはいかない。なんと20分以上の挨拶攻め
である、ゆっくり池塘を観ることもできずヘキヘキであった。
約90分歩きまわったが「ダイコンソウ」の黄色い花以外には見るものはなかった。
次に車山の肩から霧ヶ峰湿原に入り、車山の頂上を廻ってみた。山頂のスキーゲレンデが始まる位置に
「ショウジョウバカマ」があるような気がしていたからである。誰もいないリフト脇のゲレンデを登っ
た。雪解けの土手に10株ほどの「ショウジョウバカマ」を見つけることができたが、蕾は固く紅を注し
た、おちょぼ口のようだ。やはり時期的に少し早かった。
それでも、自分の感が当り、嬉しさが込み上げた。霜でやられないように近くの枯草を被せてやった。
レーダーサイトでは360度のパノラマである。浅間山からは白い雲状のものが見える、水蒸気か。
車山の肩まで、なだらかな下り道を下りていると、突然5mほど先のケルン状に積まれた石の上に可愛
い顔に鶏冠毛を付けたイワヒバリが飛んできて、こちらを見ている。
下山するのも忘れ、しばし愛らしいヒバリとのご対面を楽しんだ。(h17.5.17)

  ショウジョウバカマの花