仙人通信22(木曽御嶽山3063m) 島崎藤村の馬篭宿を舞台にした小説「家」を読んでいたら「木曽のなかのりさん〜・」が出てきた。 小生は、御嶽山には登ったことが無い。登って見たくなった。ガイドではケーブルを使用すれば、剣が 峰とお池周りの7〜8時間コースが組め、日帰りが可能のようだ。 8時にゴンドラにのって7合目(2100m)へ、シラビソ林の登山道を約55分、森林限界にある女人 堂に着く。辺りはハイマツやナナカマドへと変わり、オトキリソウが可憐に咲く。火山灰の為か、白と 赤味がかったオンダテが綺麗だ。イワツメクサも白い小さな8弁の花をつけ、台地にしっかりと根づく。 信仰の山御嶽は、石仏や石碑が登山道に沢山安置され、手向け花のようにイワキキョウが咲いている。 急斜面の遥か上に石室山荘が青空に望める。11時20分、ケーブルを降りてから3時間強で剣が峰に着 いた。山頂のカルデラに、擂鉢状の五つの池が点在し、コバルトブルーに染まる二ノ池が特に綺麗だ。 二ノ池の北側の白く輝く残雪の壁が、池を引き立てる。白い花弁のチングルマや・黄色いミヤマダイコ ンソウがコバルトブルーの湖面によく似合う。二ノ池小屋から賽の河原へのup-downには、イワキキョ ウそしてハイマツの合間に紫のチシマリンドウが1mもの帯状に咲き誇る。賽の河原は、強い風が吹く のか、ミヤマボウフウやミヤマトウキ等のせり科の花やイワツメクサが目立つ。次の登りでは、ハイマ ツに守られてイワキキョウやヨツバシオガマが足の踏み場がないほどに咲いていた。乗越すと、グリー ンに染まる三ノ池が望めた。道は険しい下りとなった。至る所に咲くヨツバシオガマが見事だ。コバイ ケイソウの仲間のミヤマバイケイソウやオヒョウタンボク、下にはミヤマアカバナやクモマクサが咲く。 直接三ノ池に下りずに、五ノ池方面の道標に沿って登るコースを選んだ。結果的であるが、ハクサンイ チゲが見られ、可愛い五ノ池も見る事ができた。そこからは、三ノ池の擂鉢の縁を廻りながら四の池 方面に下りるコースである。四ノ池の分岐近くでは、ゴゼンタチバナ・ツガザクラ・クロクモソウ・イ ワカガミが見事だ。黄色いアキノキリンソウと対象的に白いモミジカラマツも咲く。イワキキョウも点 在する。三ノ池からは8合目まで、沢に沿って下ったり雪渓を横切る、沢筋を縫う70分余りのコース だ。アキノキリンソウやモミジカラマツの咲く岩上に、紫のトリカブトもいい物だ。レンズの関係で写 真には撮れなかったのが残念。20本はあろうかコバイケイソウも雪渓に調和して絵になる。 タンポポに良く似たコウゾリナも黒い顎の上に黄色い花弁を着けて待っていてくれた。 雲行きが怪しと思ったら、パラパラと雨がやって来た。一呼吸して足を止めると、ナナカマドの中にホ ツツジがピンクの可愛い嘴を着けていた。7合目近くのシラビソの林では、マルハイチヤクソウが僅か にピンク色に俯いて咲いていた。豪雨に遭遇し、雨具を着けての下山となったが満足のいく一日でした。 ( h17.8.4)
写真は左から 7合目からの御嶽山 イワキキョウ イワカガミ