仙人通信29(本間の頭1345m)

 低気圧が丹沢山塊にも初雪をもたらし、大山・丹沢山・蛭ヶ岳等をほんのりと白く染めた。
我が家からは、仏果山や経ヶ岳の後に丹沢山・太礼の頭・本間の頭等が見える。宮が瀬ダムと本間の頭
のピストンであれば体力的には容易だ。今回は、宮が瀬のヤビツ峠入り口・高畑山・松小屋の頭のコー
スとした。県道沿いの丹沢山への登山標識に従いコンクリートの階段を登る。小さな社の所まで登ると、
突然直径1m以上もの弓の的によく似た同心円状の岩石に出くわした。火山弾のようだ。近くには卵大
の小さなのも落ちている。それにしても肉厚が均一で歪みがないのに驚いた。
本間の頭までは、煤ヶ谷亜層群の寺家・大沢・不動尻各層と大山亜層群の唐沢・布川層らが順次層を構
成した山並みである。これらの地層はドミノ倒しよろしく丹沢山に向かい凭れかかって分布している。
小生の推測では、仙人通信28で紹介した石英閃緑岩が隆起した際の応力で、水平にあった地層が80度近
くも持ち上げられた結果と思う。そんな所に応力も受けず同心円で存在する訳で、500万年以上前のその
生成過程を想像するとロマンがある。登山道は靴が埋まる程の落ち葉で積り、カサコソと音を立ながら
の登りだ。晴天でもあり、宮が瀬ダムの水の色が周囲の橋や山肌にマッチして綺麗だ。
赤く染まった紅葉もあり、静かな登りが続く。少し色付いたコウヤボウキや緑のカラマツの葉が花を想
像させてくれる。登山道は鹿防止の柵で遮られるが、簡単な鍵を外して杉林の中を進むと2個目の柵が
あった。この辺までが寺家・大沢層なのか、溶岩質の砂岩体である。約1時間で御殿森の頭に到着した。
道は尾根の南側を進み30分程で高畑山(766m)の展望台に着いた。手前に位置する経ヶ岳(633m)が、
我が家の見える方向を遮るが、辛うじて座間駅周辺が確認できた。
高畑山からの登りは大山亜層群の唐沢層であり、凝灰岩に混じり玄武岩の存在が多いようだ。
道は尾根の北側となり、沢に掛かった梯子状の木道は、積った新雪で滑りやすく、緊張の連続だ。
高畑山から40分も歩くとキン冷で、このコースの危険ポイントである。道は南側となり20分程で松小屋
の頭に着く。この辺から本間の頭までは火山角礫岩の布川層となるのだが、ローム層や約5cmの雪で
覆われており、観察が十分できなく残念だ。とわ言うものの降雪以来登山者はなく、真新しい雪を踏ん
での登山は気持ちが良く何者にも変えがたい。宮が瀬から3時間45分で本間の頭に着くことが出来た。
山頂からの展望は木々に阻まれ良くないが、塔の岳から丹沢山・蛭ヶ岳から袖平・そして雪で白く光る
大室山を確認できた。残念ながら、我が家の方向は梢で殆ど視界は0である。下山中も確認のポイント
を探したのだが、皆無であった(我が家が見える山とならず残念)。途中での休憩を入れて7時間強の
山行であったが、山の生い立ちを考える事ができ楽しい一日でした。 (h17.12.8)