仙人通信37(守屋山1650m)

 明石山脈の最北端・諏訪湖の南に守屋山はある。物部守屋神社の御神体で、且つ諏訪大社の御神体
でもある。国道152号線・杖突峠の近くの守屋山登山口と標識のある駐車場に車を止めての登山だ。
登山道の標高が1200mほど在るためか、霜柱でよく滑る唐松林からスタートだ。10分程で林道が併走
するがそのまま10分程進むと道は下りとなり、林道にクロスする。その先にザゼンソウ自生地の案内
看板があり、アカエ沢へと辿る。今年は例年になく寒さが強かったので、心配して来たのだが当って
しまったようだ。まばらにあるザゼンソウをカメラに収める。この自生地近くまで林道があり、車で
来れることから5人ほどの集団が車でやってきた。初老の人の手には「地質学会」の茶封筒が握られ、
ここの地質は緑色岩でスブリナの化石が有ったことから、海底だったのだ、何て説明しているのが聞
えてくる。明石山脈の西側を北上した中央構造線が杖突峠に向かって延びており、さしずめここは領
家帯で、隆起で出来た山であると小生は認識しているのだが、そんな説明が耳に入ってくる。
守屋山は東西2峰からなるが、ここからは山の北側を東峰に向かう。雪解けでシャーベット状に凍た
登山道は滑るため、熊笹帯に入り込み登ろうと試みたが、山頂まで続きそうなので、アイゼンを着け
た。風もなく穏やかな空間には、氷に突き刺す小生のアイゼンの爪音以外には、時折囀るシジュウカ
ラの声ぐらいである。案の定、山頂近くまでこの状態が続き、駐車場から90分ほど掛かって山頂に着
く。
正に今日は晴天だ、360度のパノラマだ。眼下にはコバルトブルーの諏訪湖が、金峰山・権現から始ま
る八ケ岳・蓼科・浅間・中信の霧が峰・霞む北アルプス・穂高・乗鞍・木曽御岳・木曽駒ヶ岳や空木
岳・南アルプスの塩見・北岳・千丈・甲斐駒・アンテナの見える入笠山だ。写真を撮っていると、隣
町の海老名市から来た夫婦が登ってこられた。旦那がビデオを回していると、方向指示盤を見ていた
奥さんが「山の名前を言いながら撮らないと後で困るでしょ」ですって、苦笑・・・・・
眼下にはフォッサマグナの西端が塩尻から眼下を通り茅野方面へ、そして高遠方面からこの山の東側
に中央構造線が八ケ岳に向かい走る。なんだか日本の中心に立っている感じだ。
カモシカ岩を経て20分で一等三角点のある西峰(1650m)に立つ事が出来た。ここからは真白な乗鞍
や木曽御岳が目の前に、木曽駒ヶ岳が更に手にとるようだ。雲一つないのが最高だ!!!。
昼食を摂り、ゆっくりと片倉への尾根道を下った。餌を求めて猪が楢等の堆積した木の葉を鋤よろし
く掻き回して木の実を求めた跡が、目に付く。糞もあり、春ヘ向けての活動が開始されているようだ。
35分程でアスファルトに舗装された林道に出る。道の載りには、猫柳がねずみ色の綿毛を膨らませ、
桐の花の固い蕾も幾分大きく感じる。せせらぎの近くで蕗のとうを発見して、早速摘んだ
(今年最後の新春のにがみを味わうために・・・)。       (h18.4.6)