仙人通信39(蛾ヶ岳1279m)

 大月から始まる御坂山塊は約35kmあり、この蛾ヶ岳(ひるがたけ)が西の端である。
蛾の文字は広辞苑を引いても「ガ」としかない、「ヒル」なんて不思議である。「蛭」「蒜」でないの
か?
四尾連湖(シビレ湖)の茶屋の駐車場に車を止めて、林道横の登山道に入る。チゴユリの群落やフデリ
ンドウが咲く緩やかな登りである。昨日からの雨も止み、雲が山肌を這ように飛び、晴を約束してくれ
るようだ。駐車場で身支度をしていた5人ほどの高齢者のグループが先を歩いている。山梨100名山で
あるこの山は、起伏が少ないこともあり、平日でも訪れる人が多いようだ。
25分程で大畠山の分岐に着く、ここから山頂までは1時間半と道標にある。落葉樹も新芽を吹き、気持
ちの良い尾根道である。ヒトリシズカが群落を成し、薄ピンクのイカリソウが登山道の両側を埋めてく
れる。時折吹き上がってくる風が錨状の花を揺らす。日当たりの良いところでは、キジムシロやタチツ
ボスミレ・フデリンドウが咲く、文句の言い様のない花の山だ。大きさも色合いもツマトリソウに似て
いる、花弁の先端が二つに割れたワダソウ(諏訪の和田峠からの命名)が白く可愛いい蕊をむき出して
咲いている。今日の花の目当ては、赤紫の「アケボノスミレ」である。関東地方ではあまり見ることが
できなく、この山には多いと聞いていたからだ。ここではタチツボスミレに混じってアケボノスミレも
咲いているのだが、群落を成すほど多くは咲いていない。
尾根が細くなり丸太橋が掛かった近くには、大きな葉に白い小さな花のエンレイソウの群落がある。
崖のためカメラのアングルが取れない。登山道はやがて尾根から南側に少し下がった唐松や小楢の小道
となり、6地蔵が祭られた西肩峠に出る。そこからはミツバツツジの咲く、急登となり20分で山頂に
着く。深緑の水を湛えた四尾連湖・大畠山その先に市川大門の町、緩いうねりの釜無川・笛吹川が、上
下に分かれた雲の間から白い八ケ岳が、茅ヶ岳・黒富士も望める。残念ながら他の山は雲の中である。
南側も湧き上がる雲で時折富士山が顔を出す程度だ。15分程ねばり、やっと1枚の富士山を撮った。
富士山と甲府盆地の間に位置する御坂山塊は、三つ峠を中心とした三つ峠礫岩層・黒岳を中心とした
大石石英安山岩層、そして蛾ヶ岳をも含む高萩玄武岩層が主体である。(岩肌の観察は殆ど出来ず残念)
大畠山の近くで、足元に2輪がペアで咲く白いツクバネウツギを見つけ、上を仰ぐと2mもある大きな
木に見事に花をつけているではないか。(昨年の荒船山以来であり、嬉しさが込み上げた)
四尾連湖を称えた野沢一の文学碑のある四尾連峠に出てから、湖の辺へと下山した。
山肌には赤い山つつじが咲き、イカリソウやチゴユリも咲き乱れ、ここでも花の山を満喫した。
四尾連湖は山の谷間に出来た一周25分程で歩ける静かな佇まいで、イカリソウ・チゴユリ・カキドウ
シ等季節の花で彩られた大好きな湖の一つだ。               (h18.5.9)