仙人通信40(尼の禿山1466m) 上州武尊(ほたか)にと考えていたのだが、残雪が例年になく多いので、玉原(たんばら)湿原と 尼の禿山に変更して、ノンビリとした山行と決め込んだ。玉原のレストハウスに車を止めて、雪解けの 瀬音とカッコーの鳴き声を聞きながら砂利道を10分程進むと玉原湿原の入り口である。 玉原地区は成層火山である武尊山の西側に位置して、斑晶質の少ない安山岩で構成され、その北側に位 置する尼の禿山は武尊山の尾根伝いで、武尊山とほぼ同じ凝灰角礫岩質の山である。 湿原は木道が整備され、早速可愛いミズバショウのお出迎えである。寒い性か、痩せ地の為かハタマタ 尾瀬や鬼無里等と種が異なるのか、白い花弁が3分の1程度しかなく小柄である。何しろ可愛いの一言 だ。湿原を一周するコースになっており、反時計廻りの山岸のコースとした。ピンクの猩々袴(ショウ ジョウバカマ)も咲いている。幸せ感に満たされてシャッターを切った。雪解けが遅れた性でミズバシ ョウとショウジョウバカマのみでバイケイソウは捲葉が出始めたばかりだ。 木道を進むと、湿原入り口で会った山登りの出で立ちの夫婦が、時計廻りで来られたので声を掛けた。 「山は登られないのですか」と問うたら「黄色いロープで危ないから登るなとありました」と返ってき た。確かにロープが張られ[例年になく雪が多く足が潜るので危険だ]と注意書きがある。しかし禁止と は書いてない。短い距離であり、時間も十分だ危険かどうか見て、引き返してもよしと判断して進んで みた。確かにせせらぎの橋が折れていたが、進めない状態ではない。程なく玉原トンネルへ繋がる林道 へ出た。トンネルは鉄格子で閉ざされているが、その先に新緑が見え、春が感じられて安堵した。 ここから山頂までは、雪解けの露地もあるが、柔らかい雪道の登りである。雪の上には入山者の靴跡も なく、我ながら物好きだと苦笑しながら尾根へと辿った。濃い赤紫のエンレイソウが咲いている。この 色は初めて見る色だ。背中には霞んで武尊山が白く見える。山頂で写真が撮れる事を期待した。 尾根道はトウヒ(唐檜)やブナであるが余り周囲の山は見えない。程なく送電線の鉄塔があり、右側の 尾根コースを執った。歩き初めてから丁度100分で山頂に着いた。3等三角点の山頂からは、谷川と武 尊山が霞んでやっと見える程度で、遠くの確認は出来ず諦める。10程ほど下った地点に迦葉山方面への 下山コースの分岐点の道標がある。登って来た道を戻るべきかとも考えたが、尾根伝いであれば安全そ うなので迦葉山方面から下山する事にした。10m程下った露地に、薄紫のポット咲いたアヅマイチゲを 見つける。俺だけの贅沢な可憐な花だ(嬉しさが込み上げる)。雪の上には踏み跡がなく、笹や木株の 下の踏み跡を探しながら、ヤバイと思ったら引き返す覚悟で慎重に尾根を下った。約1時間下山した地 点で雪に埋もれた林道に出てホットした。誰も入ってない山肌には、真新しい蕗の頭が頭を擡げていた。 スーパーの買い物袋一杯に摘んでの帰りとなった。(帰って早速佃煮を作りましたよh18.5.22)
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(1)ミズバショウ (2)ショウジョウバカマ (3)アズマイチゲ