仙人通信41(乙女高原・大窪山1719m) 入梅の合間の晴だ。アズマ石楠花を見に国師岳に登ろうと意気込んで、牧丘・川上林道を柳平まで進 むと、道路工事で通行止めである。そうだレンゲツツジの咲く乙女高原に行こう。 ロッジ前の駐車場に車を止め、かつてスキー場であつた草原を歩く事にした。草原の散策路にはロープ が張られ、いくつかのコースが出来ていた。まずは外周のコースである山際から歩こう。 一面オレンジ色の燃えるようなレンゲツツジが咲き始め、黄緑の新芽に映える。一方草原は、寒い春で あった性かアヤメ・アマドコロ・サクラスミレ・キンポーゲ・キジムシロと低山の花のみで、あまり目 新しい花はない。山頂からは、富士山を中心に御坂山塊の三つ峠から本栖湖の先の毛無山辺りまで見え る筈なのだが、雲に霞み三方分山が辛うじて見える程度だ。タイミングの難しさを感じる。なんとも残 念だ。白樺の尾根道伝いに歩くと、3cmに満たない可愛いいマイズルソウが一面に咲いているではな いか。180mmのマクロレンズを取り出して、シャッターを切った。そそくさと通り過ぎる人達を知り目 に近くの木陰を物色すると、白いキセル状のキンリュウソウの花が至る所に咲いている。レンズを 100mmに変えてリングフラッシュを焚く。思いがけない花との出会いに嬉しさが込み上げる。コース変 更で時間にも余裕が出来たので、草原の中をめぼしいものを求めて歩き廻ったのだが、他に得るものは 無かった。乙女高原の東側に位置する大窪山なら、1時間程度で往復できると踏んで登って見る事にし た。(目的を変更したので、ガイドブックも無く、ただ物好きの虫のお目覚めだ) それにしても大窪山は唐松で覆われ、見るからに視界の利かない山のようでもある。カッコ-や鶯の鳴 き声・春蝉やモリアオガエルの大合唱に促され、一人山頂を目指して登った。ズミの白い花・八重桜・ サクラスミレ・ギンランが、又小さなピークを過ぎ鞍部に入るとマイズルソウが一面に咲き、ギンリュ ウソウも白いキセルを擡げている。登りに着くと小石の登山道となった。金峰山や甲武信山までは、花 崗岩の山であるので、テッキリそうかと思っていたが、石灰岩に近いデイサイトである。手前の黒富士 の関係なのだろうか。唐松の下木である薄ピンクのベニイロノツクバネウツギが至る所で素朴な花を添 えてくれる。ミツバツツジやレンゲツツジそして、一面のマイズルソウが咲く山頂に35分程で着いた。 (いろんな花にも会えて私の感もまんざら悪くも無いようだ) 誰も居ない山頂で鳥の声や蝉の声を一人占めして、昼食を取り至福の時間を貪った。(カッコ〜) 登って来た道を戻り、途中の四季の森公園に立ち寄る。ここでは、ヤマツツジが燃えるような赤い花を 付け、ベニバナノツクバネウツギやマイズルソウが展望台までの道を埋めていた。展望台からは、先ほ ど登った大窪山が左手に正面に塩山の町が眺められた。4時間足らずの無計画な散策であったが、なん だかストレスの解消ができたようだ。 (h18.6.14)