仙人通信47毛無山(1946m)

 本栖湖の南・天守山地の主峰として、毛無山がある。山梨・長野をはじめ、毛無の付く山や峠は
山口県から北海道まで20を数得るそうで、その中でもこの毛無山が最高峰である。
「けなし」は森を指すアイヌ語との節が有力のようで、口承で伝わった「けなし」に渡来した漢字
が充てられたらしい(日本のアイヌ語地名:大友幸男薯)。又戦国時代に今川・武田・徳川の金山
(富士金山・中山金山)としても有名な山である。今日は麓部落の有料駐車場からの登山だ。
杉木立の登山道に入ると直に、麓神社が、続いて金鉱石を破砕した機材が放置されている。機材か
ら診て昭和の中頃まで稼動していたようだ。10分も歩いたろうか毛無山方面と下山コースにする
予定の地蔵峠コースの分岐である。さらに20分程で不動の滝が見える展望台に出る。滝は2段の
滝で100m程あるとのこと、水量は多くないが綺麗で絵になる。このあたりから杉木立から椚・
シャラ・小楢等の落葉樹林に変わる。梢の合間から白く化粧した富士山が望める。足元では枯れ葉
の間に、緑の伊豆カンアオエが元気である。枯れ葉を除いて茎の根元の花を探してみたが、まだ開
花には早いようだ。登山道の右側(不動滝側)は崖状態でその尾根に沿って登山道が続く。岩が多
くその間に張られた補助ロープを手繰りながらの登りだ。このコースには、15分から20分程の
間隔で10合目までに区分した標識があり、登りの早さの目安となり助かる。五合目の標識はマツ
ダランプのフォーロー仕上げの広告付きだ。富士山を背負いながらの登りであるが、梢が常に視界
を邪魔する。木の葉がある時期は、富士山を望むのはムリの様だ。9合目に富士山展望台と云う小
さな岩が突き出しているのも何だか頷けるのだが、今日はスッポリ雲の中である。下山者によると、
南アルプス展望台では雲も無く、北岳から聖当たりまで見えるとのことである。気を取り直しての
一分張りでそのポイントに立つ。確かに白く雪化粧をした南アルプスが望めるも雲が湧き出して来
ていた。富士川沿いの十枚山から竜爪山が一望できるポイントである。山頂までも桜・アセビ・ツ
ツジ・樺・シラビソ・ブナ等で覆われ視界は良くない。登り始めてから丁度3時間で山頂に辿り着
いた。山頂は東側が開け、富士山が中央に望めるポイントである。農大の牧草地を始め、多くの牧
草地が点在し、緑の絨毯の朝霧高原が望めるも、相変わらず富士山は雲の中である。毛無山は山梨
100名山で、1等三角点の山でもある。毛無(けなし)はやはりアイヌ語の森である事を実感した。
山梨の標識に1945mと静岡の標識に1946mと標高が1m異なる。標識の立っている高さは30cm
も差がないのに?。毛無山の地帯は西八代層群で、玄武岩質の締まった砂岩が主体のようだ。帰路
は下部地区を眼下に、コウヤボウキやシシウドが綺麗であったろう尾根道を地蔵峠まで下った。
金山沢はかっての砂金の出た沢だ。坑口を探したり、金山の釜跡を見たり、滝や瀬音を楽しみなが
らゆっくと麓へと下山を楽しみました。      (h18.12.4)