仙人通信D(我が家が見える山A)

 我が家からは、三増峠のやや南側に仏果山・高取山が望める。残念ながら、これより北側の山は
神社の杜で遮られる。我が家と仏果山までの直線距離は、ほぼ14kmで大山より若干近い。
 400mmの望遠で眺めると峰の上の落葉木が馬の背毛のように見える。仏果山から我が家が確認出
来そうである。
 朝8時に車で家を出かけ、宮が瀬ダムの駐車場に止めた。半原側からの登山路もあるが、ダムを
眺めながら、のんびり登りたかったからだ。仏果山は、高さがたかが747mであり1時間20分程度の
登山である。檜や杉の林の中をなだらかな道が続く。登山道の所々に「三井金属鉱山」の境界杭が
目に付く、玄武岩の堆積物から出来ているこんな山に、なぜ三井だなんてと考えた。宮が瀬ダムの
コンクリートの骨材として利用していたのだろうと勝手に納得した。仏果山の西側半分は三井の山
なのだ。因みに登山中に2.3の火山弾を発見した。この山は中津峡火山角礫岩と地質学では呼ばれて
いる。
湖面から吹き上げる風が、騒音と木の葉を撒き散らして昇ってくる為であろう、小鳥の囀りは殆ど
聞えない。(ちょぴり寂しい)
「タチツボスミレ」であろう、林道のいたるところにしっかりと根付いている。「薊」の葉も綺麗
だ。
意外と多いのが「コウヤホウキ」である。9月末に開花し、今は白い穂に成っている。
樅の木の尾根に「カンアオイ」の緑の葉を見つけた。そっと手を差し伸べ「ガンバレヨ」と声を掛
けた。多くの「カンアオイ」は春先に地べたに1cm程の茶色い花を付ける。ところでウマノスズ
クサ科の「カンアオイ」は、他の被子植物と比べ繁殖力が弱く、群生しているのをめったに見るこ
とができない。葉を落とした「ミツバツツジ」の木も点在している。これらの花が咲いているのを
想像するのも私の山登りの楽しみでもある。
 家を出る前に若干の雲が大山の上から、仏果山上へ伸びていたが、峰は十分確認できた。しかし
登り始めると太陽を時折雲が遮った。頂上に辿り付いた時に何も見えないでは寂しい。祈る思いで
宮が瀬越についた。半原や相模原がはっきりと望める、何とか視界は維持できそうだ。(よかった)
この峠の周囲の広葉樹は落葉しているものの、もみじばかりが見事に紅葉していた。(暖冬?)
20分ほどで三角点のある山頂に着いた。
山頂にある13mの展望台に上り、望遠レンズをカメラに付けて我が家を探した。
相模川の先に赤い屋根の小さな我が家を探し、シャッターを切った。高取山山頂の展望台からも、
我が家が確認できた。(本日の任務完了なんて笑顔で帰宅した)

コウヤホウキの穂(H16.12.7)