仙人通信61 国師ヶ岳(2592m)・北奥千丈岳(2601m)
奥秩父連峰はどの山もドングリの背比べであるが、北奥千丈が数メートルの差で最高峰 である。大弛峠は標高が2350m位あり、山頂までの高低差は250mと1時間程の登りであ り、国師ヶ岳(一等三角点)と合わせても、往復しても3時間で十分登れるコースだ。 大弛峠の駐車場では、ナナカマドが赤く・ダケカンバも黄色く色付き、そして唐松も秋の 始まりを告げている。山小屋の横から始まる登山道は、シラビソで覆われているものの、 新品の階段や木道が整備され、草深い奥秩父のイメージが涌てこない。 10分程で「夢の庭園」のコースの分岐となる。咲いている花は無いものの、赤い実を付け たゴゼンタチバナやセリシオガマ・コケモモ・オーレン等の葉が木道の横に見られ、春の 開花時の綺麗さが目に浮かぶ。又サクラ・カエデ・ナナカマドやドウダンの葉が赤く色付 き、シラビソの緑や青空に映える。更に20分程で夢の庭園からの周回コースと合流する。 この辺りからシャクナゲの緑の葉も加わり、落ち着いた雰囲気の登りとなる。やがて木道 が終わり、最初のピークに到着する。西側には金峰山が、南には北奥千丈岳が紅葉を着飾 り、秋を肌で感じさせる。しかし、南から雲が押し寄せて、何時視界を遮ぎられても可笑 しくない状態だ。10分程でハイマツが良く似合う花崗岩の前国師に着く。 前の通信でも触れたが金峰山・国師ヶ岳・甲武信ヶ岳から笠取山までが同じ岩質の花崗岩 (石英閃緑岩)で縦走路から南に突き出した北奥千丈岳も同じだ。 更に10分程下ると国師ヶ岳と北奥千丈岳の分岐となり、登り初めて丁度1時間で国師ヶ岳 の山頂に着く。ここからは南面の北奥千丈岳が望めるも、他は木々で視界が遮られている。 期待の冠雪した富士山は、雲の中と残念である。先ほどの分岐まで戻り北奥千丈岳に向か う、と言っても25分で山頂である。この山頂はほぼ360°の展望であるが、南側から涌い てきた雲足が速く、辛うじて朝日岳までで、金峰山はもう見えない。北側の小川山から国 師ヶ岳の狭い範囲が辛うじて見えるのみだ。それでも雲間から時折日が差して、紅葉が輝 き映えて心を慰めてくれた。帰路は、来たコースを戻り先ほど触れた夢の庭園を廻てみた。 花崗岩にシラビソやハイマツや先に触れたナナカマドなどが映えて命名の由来が解る気が する。(このコースを整備した山小屋の親爺に感謝) 牧丘に向かう林道横では濃い紫のアキノチョウジ(今日はこの花のみ)が風に揺れて、 別れを告げているようで、印象的でした。(h19.10.12)