仙人通信64 赤久縄山(1522m)
 冬桜の咲く神流湖を横目で見て、万場から御荷鉾スーパー林道を塩沢ダムへ進み、赤山
荘のヘアピンから左に反れて砂利の林道を下り、塩沢川に架かる橋の先に車を停め、ここ
から赤久縄山の山頂までのピストンである。橋まで戻ると整備された登山ルートの掲示板
がある。夏の大雨の傷跡は心配なさそうだ。5分程林道を進むと、橋の手前から登山道が
始まる。さらに10分程で沢はY字となり左が早滝・右が山頂を目指す沢筋である。登山道
は沢を右に見て檜林を登る。チョコレート色のチャート質に褶曲した白い石英質の筋が貫
入した三波紅石より密度の低い川床の上を澄んだ水が流れる様に、しばし足を止め見ほれ
た。対岸の岩は青緑の泥岩質で御荷鉾層のようだ。
ご存知のように、中央構造線の南側には三波川帯、更に低変成の御荷鉾帯、秩父帯、四万
十帯が四国・本州を構成している。因みに赤久縄山は、秩父帯の万場層からなるそうだ。
早滝の分岐から30分程沢沿いを進むと、カラマツ林となり、左手の登りとなる。15分ほど
で送電線の鉄塔のある尾根に出る。尾根からは右手に白鳥岩という白い崖を、左手には山
頂を望んでの九十九折である。25分程で塩沢峠方面の分岐となり、コースは左手の緩やか
な登りとなる。10分程で山頂の北側を巻くように作られたスーパー林道が3m位下を通る。
さらに10分程で稜線を乗越す送電線の鉄塔に出、林道となる。ここからは稲含山や鹿岳
等の西上州の山が望めるがその先はガスで霞む。林道の横の崖には、これぞ秩父帯を示す
砂岩質の鈍い色の岩だ。200m程で山頂を目指す登山道に再び戻る。登山道の両側には水楢・
リョーブ・躑躅・ブナや冬枯れしたコウヤボウキが見られる。程なく膝丈の笹の葉が良く似
合う赤味を帯びた幹のタケカンバの樹林帯だ。整備された階段の横では、沢山のトリカブ
トの穂がつんとすまし顔である。穂を揉むと黒い胡麻粒程の実が弾け出た。30分程で一等
三角点の山頂である。東には2つの山頂の御荷鉾山が、南には凹凸のある両神山や諏訪山
が雲の合間に水墨画のように浮かぶ。登山者は小生1人だけだ。白い綿状の物が目の前を
飛んだ。雪が舞い始めたのだ。ラジオのスイッチを入れると、あのしゃがれ声の門倉有希
の「ノラ」が流れる。ちょっぴりセンチになった。この山の白髪岩には原三角点がある
のだが、時間がなく断念して、来た道を戻った。40m程の落差がある早滝は、凍ると見事
とのこと、足を延ばしたのだが凍結しておらず残念!。しかし滝壷一帯は三波紅石に埋め
尽くされ、見事だ。庭師であれば、喉から手がでそうだ。車に戻ると雨が待っていたとば
かりにやってきた。途中神流湖近くの石屋(15年位前に三波紅石を求めた)により、石の
観賞をして今日の纏めとした。「登山時間4時間強」    (H19.12.11)