仙人通信67 長者ヶ岳(1335m)・天子ヶ岳(1330m)
 長者ヶ岳は、田貫湖を抱え穏やかな形で天守山地の最南端に位置する山である。
ゴビ砂漠から春の使者の到来や雪が舞う日が続いていたが、今日は晴天で雪を頂いた山頂
が望める。田貫湖の北側の駐車場に車を止め、2つの峰をピストンする事にした。
小田貫湿原に向かう林道を100m程進むと左側に東海自然道の標識が、登山道の入口である。
檜の木立の中に雪に埋もれた丸太の階段が何処までも続く感じだ。檜の梢に積った雪の固
まりが、そのままズサット落ちる音でそれまでの静かさが破られ、驚く有様だ。
20分ぐらい登ったろうか、北側がヤット水楢等の落葉樹となり、梢越しに雨ヶ岳や毛無山
が見える。更に20分程でテーブルのある展望台に出る。後ろを振り向くと富士山が初めて
顔を出した。ここから先の積雪を考え、アイゼンを着けた。登り初めて1時間で山の南側
も落葉樹林帯となり、眼下に空の青さを受けてコバルトブルーの田貫湖が、そして富士山・
愛鷹山・伊豆の山・駿河湾までが一望できる。程なく又もや檜の林となり、視界を遮る。
時折樹上の雪がスノーダストよろしく、キラキラと虹を作り舞い散る。30分も歩いた時点
で檜が無くなり、水楢・リョウブ・ブナ・桜等落葉樹となり、右手には御坂山塊・竜が岳か
ら始まる天守山地が、左手にはキラキラ光る駿河湾が良く見える。小生と同年代の静岡市
から来たとの男性は、アイゼンも着けずに下山してきたが、登山道は尻橇の跡だらけで
ただただ驚いた。程なく毛無山から長者ヶ岳への尾根の上に、真白い北岳が真っ青の空に
浮かび上がる。ガンバレヨと元気を与えられ、丁度2時間で山頂に辿り付いた。
富士山には雲が棚引きはじめ絵になる感じだ。北側には真白な八の赤岳・鳳凰三山・駒ケ
岳・北岳・間ノ岳が手にとるようだ。風も無く静かな山頂を一人占めした後、南に伸びる
尾根を下って天子ヶ岳に向かう。山梨県側(佐野川方面)が檜林となり、南アルプス方面
の視界が遮られるも富士山は梢越であるが青空に映える。数羽のヤマガラが近くで囀るの
で、持参したミカンを輪切りにして小枝に刺してやった。食べてくれるのを期待して!!。
尾根の雪は20cm程で所々にデイサイトの岩が露出しているも、富士山の噴火物と思しき
ものは、見当たらなかった。20分程で鞍部となり、天子ヶ岳までは、積雪も増した急な登
りとなる。しかし、佐野川面は檜からブナやシロヤシオと思われる躑躅等の落葉樹となり
南アルプスや前衛の竜爪山地の十枚山等を望んでの登りである。30分程で天子ヶ岳山頂に
到着した。山頂は広いにもかかわらず、木々に覆われ視界はよくない。山頂から長者ヶ岳
山頂まで40分ほどで戻り、一息入れた後に駐車場に向け、アイゼンのグリップの音を確か
めながらであるが、なんと1時間で下山した。梢越しではあるが、周囲の山が見えたのは、
この時期に登ったお陰と自己満足の登山でした。(h20.3.6)