仙人通信74 四阿山(2354m)野地平湿原
 四阿(あづまや)山は、嬬恋村の西端に位置した、200万年前の複合成層火山である。
嬬恋のバラギ(茨木)湖から浦倉山山頂近くまでロープウエーを利用し、四阿山山頂まで
を往復後に浦倉山から野地平湿原を廻るコースとした。老人には100円引き料金の800円で
標高差500m/3.2km/約15分でヤマハハコ・ヒヨドリソウ・ヤナギランの咲く斜面を空中
散歩させてくれる。ゴンドラからは浅間山から白根山までが一望でき、思いを廻らしてい
る間に山頂駅に着く。山頂駅から10分ほどで山頂と四阿山近道の道標である。考えている
と山頂から下りて来た人が「ここは止めた方がいい、近道がよい」とのアドバイス。
お奨めのなだらかな道端には、イタドリ・ヤマハハコ・オトキリソウ・アキノキリンソウ・
二ガナが咲く。リフト小屋を過ぎてシラビソと腰丈ほどの笹の緩やかな尾根道となる。
四阿山は東に浦倉山、西に根子岳を従え、この両山間3Kmを直径としたカルデラを北側に
抱え、7つの爆裂火口の山頂とカルデラの大壁に爆裂火口を持つ事で知られている。
登山道は爆裂で削り採られた尾根筋を登る訳である。カルデラ側はシラビソの枝で遮られ
何も見えない。緩やかなコースでは、雪解けの水溜りが多く足元を確認しての登りである。
時折、浅間山から武尊山辺りまでの視界が開ける。眼下にはコバルトブルーの千代田湖や
バラギ湖が望める。足元では、花の終ったゴゼンナチバナ・マイズルソウ・イワカガミそ
して赤く輝く実を付けたタケシマランが迎えてくれる。1時間も歩いたろうか、パルコー
ル台と赤く書かれた茨木山への分岐点である。なんと浅間山から白根までの大パノラマだ。
山頂に掛けての痩せ尾根は、花の宝庫である。キソチドリ・ホツツジ・白シオガマ・タカ
ネ二ガナ・キンレイカ・アキノキリンソウ・紫の実を付けたガンコウラン・クロマメノキ・
ピンクのコケモモの実である。摘まんで前歯で噛むとジューシーさが広がる。紫によく熟
した山桜の実も食したが、これは苦味が強く閉口した。山頂駅から1時間30分で山頂に辿
り付く。爆裂で深く切り立ったカルデラが流れる雲の合間から覗けたのは、ラッキーであ
った。浅間山から、子持山辺りまでの視界は十分であるが、入道雲が湧きあがり、やばい。
戻りがてら、止められた小ピークに登ったら、何とこのコースでここだけが四阿山全容が
バッチリ見えるポイントだった。儲けた気持ちで、浦倉山に向かう。シラビソや背丈ほど
の笹で遮られながら1時間で野地平の入口に着く。朽ちた木道の横で赤い可愛い実が・・・
イワハゼの実である。可愛さに見惚れる。アヤメ・ギボウシ・アザミ・タカネシュウロ・
クガイソウ・ヤナギラン・クルマユリ等の馴染みの花、そして真白に湿原を染めるムシカ
リの花と鶯の鳴き声のプレゼントに迎えられた。ムシカリと同属のガマズミが赤い実を付
けた、そのコントラストも面白い。ゲレンデの近くではショウマの仲間のチダケサシやヒ
ヨドリソウだ。昔の仲間に会えたような5時間強の山旅でした。(H20.8.7)