仙人通信G(我が家が見える山C) トホホーである。正月3日、我が家の北窓から外を眺めると雪で白くなった奥多摩の大岳山が見える ではないか。仏果山が限界と思っていたが、思い込みであったようだ。 双眼鏡を取り出し確認すると、大岳山の横に、奥多摩で大好きな川乗山がさらには大持山までも見える。 更に左手に御前山・雲取まで見える。手前には高尾山・陣場山と連なる。神奈川の最北端の生藤山ら しき山陰も見える。生藤山は991mと1000mを切る高さだが、東京・山梨・神奈川の分水嶺である。 それよりも「レンゲショマ」の自生地で有名であろうか。登って我が家の確認をする事にした。 1月11日、西高東低の気圧配置で北風が強いが、一日中晴れるらしい。 中央線藤野駅の近くのトンネルを抜け・和田峠方面に少し走り、鎌沢方面に入り、県営駐車場に車を 止めた。山の斜面に植えられた茶畑の間の急なコンクリート道を登る。大晦日に雪が降った事もあり、 凍った雪道は滑りそうである。しかし、北側の陽だまりには、もうタチツボスミレが咲き始めている。 ただただ感心し、マクロレンズで一枚シャッターを切った。 檜林を登ると、南稜線に出た。尾根道は雪解けで、ぬかると思い、スパッツをつけての登山となった。 寒桜や山椿も風に吹かれ咲いている。尾根道には、直径50cmを越える桜の木が続く、4月に訪れられ たら、さぞかし綺麗だろう。石楯神社の鳥居を潜り檜と杉林を登ると甘草水と標識のある休憩場である。 辺りが開け富士が背中方向にバッチリである。強風に煽られた雲が富士山の山頂から南に流れる。 木々の梢に山麓から吹き上げる冷たい強風が、呼吸をするかのような悲鳴を挙げる。気が付いたのだが、 杉・檜・松で悲鳴が違うのだ。さらに30分程で三国山の山頂に立つ事が出来た。三国山からは富士山・ 三つ峠・大菩薩等の山梨の山々、雲取・大岳・陣場等の東京都の山が、南には海老名市・仏果山・大山 丹沢の山が望める、海もかすかに見える。しかしである、我が家は前衛の醍醐丸に掛かり見えない。 若干高い生藤山であればと期待して足を進めた。生藤山山頂は、三国山より高いものの醍醐丸がしっか りと我が家の方をさえ切っていた。甘い・甘い・甘いではないか。登って判った事だからと断念して、 先ほどの甘草水まで下がり、カメラを構えてピントを合わせてみた。尾根の北側の雪の表面を撫ぜた北 風がカメラを持つ手に当り、手が痺れる。息を吹きかけて、目標を定めてシャッターを切った。帰宅し てパソコンで画面を50%まで伸ばして見た。白赤に塗られた米軍キャンプの無線鉄塔の下に米粒の半分 位の我が家が写っていた。約30km離れた距離からの確認である。 一人占めした静かな山歩きでした。