飯豊連峰縦走    写真はクリックすると拡大できます。

御西岳山頂にて 飯豊本山山頂にて 御西岳北方の縦走路から
飯豊本山を眺める
御西岳北側の縦走路にて
飯豊本山をバックに
烏帽子岳頂上にて
石転び沢から沸き上がるガス 梅花皮小屋にて 北股岳から手前に梅花皮岳
を眺める
北股岳にて杖差岳方面を
バックに
門内岳から北股岳を眺める
【山行名】  :飯豊連峰  飯豊本山(2105.1M)他
【 日時 】  :8月12日(水)〜15日(土)
【 山域 】  :飯豊連峰:三国岳(1644M)種蒔山(1791M)飯豊山(2105.1M)
              御西岳(2012.5M)烏帽子岳(2017.8M)北股岳(2024.9M)
【メンバー】:植木孝、柏木宏行、東和之、高橋紀子、梅原浩
【 撮影 】  :梅原浩
【 記録 】  :梅原浩
【コース】8月12日矢板18:00=23:00飯豊の湯(幕営)
          8月13日川入7:50−11:30地蔵山分岐−12:35三国岳−14:35切合(幕営)
          8月14日切合7:00−9:30飯豊山−11:10御西岳−14:25烏帽子岳−15:05
                    梅花皮−15:50石転び沢(幕営)
          8月15日石転び沢7:05−7:15梅花皮小屋−7:55北股岳−8:55門内岳−10:15
                    梶川尾根−13:30飯豊山荘

8月12日(水)  
  前日の豪雨で東北の山々は所々林道が崩れているというが午後11時、飯豊の湯駐車場で幕営する。月を
見ると傘をかぶって明日はいかにも天気が崩れそうだが、テントを2張り設営し男4人と女の子1人に別れ
て就寝する。
8月13日(木)
  ウトウトとしていつのまにか寝入っていたが、テントを叩く激しい風雨に眼を覚ます。時計を見ると午前
2時を少し回っている。『明日はヤバイナ。』と思いながらもシュラフに入っていたが周りが何故か冷たい
。気がついてみるとテントの中は床上浸水・・・。皆が次々と起き、テントの中央にシュラフを濡らさない
よう抱きかかえる様に集まって来る。時計を見ると、午後3時近くになっていた。テントを叩く雨脚は尚も
激しさを増すばかりだ。『車へ待避しよう。』と誰彼ともなく言い、雨脚が弱くなった頃合いを見計らい、
床上浸水したテントを残し、脱出する。高橋さんに『大丈夫?』と聞くと『大丈夫!』という声が帰ってき
たが、彼女のテントもやはり床上浸水したらしく、間もなく車に入ってきた。『明日は本当に登れるんだろ
うか』という不安を抱きながら、車の中で朝を迎える。
  周りが明るくなるにつれ、雨脚も弱くなり、5時頃には雨も上がった。朝食を済ませ、グッショリ濡れて
重くなったテントをたたみながら『さあこれから登ろう』という気持ちは高まって来る。
  身支度を済ませ、川入を目指したが山々の谷筋からは土色に濁った水が至る所で吹き出している。飯豊鉱
泉を過ぎた所で、鉱泉のお兄さんから『御沢キャンプ場手前は道路が崩壊しているので車は学校に置いて行
く様に』と言われバックする。その代わりに崩壊現場手前までトラックで運んでもらった。御沢キャンプ場
では10台程度の車が取り残されておりその脇を通り、登山を開始する。
  崩壊現場から歩き始めたが、地元の人に『今日も天気は崩れるよ』と言われた通り、下十五里を過ぎた辺
たりから再び雨が強くなる。昨日から今日の天気を考えると『下山した方がいいかな』という気になり皆で
協議したが、結局登る事にする。緩やかな尾根道を登る間、雨は尚も降り続いたが横峰小屋跡を過ぎた頃か
ら雨も上がり、地蔵山の稜線にでる頃には、縦走路が幾分見渡せるまでに天候は回復した。剣が峰の岩場付
近では青空も時折顔を出し、雨に打たれたはずの岩場も渇き、絶好の登山日和になっている。『このメンバ
ーはよほど天気に恵まれているんだなあ』と感心させられる。
  三国岳へ着いた頃には、飯豊本山がかすかに見えるまでに天気は回復していた。午後3時には切合小屋横
のテント場に付き早めの夕食を摂る。睡眠不足と液体風邪薬の効き目もあり5時30分頃には早々と就寝。
8月14日(金)
  昨晩もやはり雨がテントを叩いたが、昨日ほどの事もなく明け方にはやんだので、朝食を済ませ少しガス
った尾根道を飯豊本山に向け出発する。飯豊本山付近は縦走路のなかでもがすが掛かっていることが多い様
だ。今年はどこでも雪が少ない様で、飯豊も本山から御西岳に掛けての雪田が残っている程度で縦走路には
雪は全くない。しかし切合付近にはタカネマツムシソウの群生が見られ、何処を歩いても花・花・花で、特
にトリカブトやイイデリンドウの様な青系の花々が目立つ。
  姥権現から御秘所の岩場も軽快に過ぎ、10時前には飯豊本山に着く。今回の山行の最高峰だ。本山から
は大きな登りも無く特に御西岳手前ではタカネマツムシソウの群生が素晴らしい。時間があれば飯豊連峰の
最高峰、大日岳への往復もしたかったが今回はパスし、今日の幕営地である梅花皮小屋へと急ぐ。振り返る
と飯豊本山の雄大な姿が夏空に映える。昨日から今日にかけて天気はどんどんよくなり絶好の縦走日和とな
った。この日のクライマックスは雄大な烏帽子岳の登りでこれを越えればテント場で休息・・・の予定であ
った。事実、メンバー全員も快調に烏帽子を越えたはず・・・だった。所が、山名だけしかない梅花皮岳の
登りが結構きつく、私自身の体力も急速に減衰し梅花皮小屋に着いた時には、皆バテバテでおまけに、小屋
を新築中でテントを張れるスペースがない。今日は小屋に転げ込もうという皆の意図に最後までテント場で
と、植木さんが走り周り、10分ほど石転び沢を下った小さなテント場をゲット・・・。疲れ切った皆を率
先して誘導した植木さん・・・。ご苦労様でした。おかげでテントの中から満天の星空・・・山形の花火・
・・朝焼け・・・などなど小屋に入っていると見れないかもしれない沢山のお土産を頂いた。
8月15日(土)
  石転び沢は今年は雪が少なく通行禁止の為、10分程登り梅花皮小屋に戻る。小屋の新築の為にひっきり
なしに飛んで来るヘリを横目に、今回最後の大きな登りとなる北股岳に掛かる。標高2024.9Mの頂上
からは烏帽子岳を始めとし、御西岳、大日岳などの眺望が素晴らしい。あいにく本山はガスの中のようだ。
また北の方向には今日下山する梶川尾根を始め、遠くに杖差岳が眺められる。360度のパノラマをしばし
楽しみ、門内岳を経て梶川尾根への下山ルートに入る。飯豊山壮まで標高差1600Mを一気に駆け下りる
のだから非常にきつい。・・・そしてやはり予想通りきつかった。林道に5人全員が下りきった時、誰彼と
なく、握手・・握手・・。めったにみられない光景だ。それ程、最後はきつかった。それと、予定通り快適
な山行ができたと誰もが思った結果なのだろう。
  明日からまた忙しい世界に戻る・・・それまでのほんの少しの充実した時間をかみしめる様に飯豊山壮の
あつーーーいお湯で3日間の疲れを癒しながら今下りてきた山の方向をぼんやりと眺めていた。