1999/6/4〜6  朝日連峰

竜門山にて(6/5) 西朝日岳から飯豊連峰(6/6) 西朝日岳から以東岳(6/6)
山行報告   浅川浩三  

期 日 :’99年6月4〜6日
行 先 :朝日連峰・寒江山、西朝日岳
メンバー:浅川浩三(単独)

  朝日連峰のミネウスユキソウを見に行きましたが、開花には一週間ほど早すぎました。

6月4日(金)雨のち晴(夕)
 自宅を4時45分に出発したが、朝食及び昼食の調達等を済ませ登山口に着いたのは10
時近くになった。登山口には日暮沢小屋という昨年建て直したばかりの三階建ての立派な山
小屋がある。日暮沢小屋に着くと雨が次第に強くなり、予定より随分遅れていたので今日の
登山は中止することにし、この小屋に泊まり翌早朝出発することにした。晩酌のつまに小屋
の周辺でフキ、ウド、ネマガリダケ、タラの芽を採取し、料理した。後から来た登山者にも
わけてあげた。この日は5人の登山者が泊まった。
 
6月5日(土)くもり
 雨にはならなかったが、昨夕の晴天は続かなかった。3時起床、4時45分出発する。
30分位してカモシカに出会う。10m位まで近づいても逃げなかった。雪は標高950m
地点で始めて現れる。雪の中のブナ林の新緑は美しかった。タムシバ、カタクリ、ムシカリ
、ムラサキヤシオ、ツバメオモト、シラネアオイ、イワカガミ等々ところどころ登山道沿い
に咲いていた。
 竜門山までは登山口から標高差にして1,000mそこそこだがアップダウンが何度もあ
り結構きつい。しかも残雪が消え隠れするところに行くと、大きなブヨが無数に集まり閉口
した。昭文社の地図のコースタイムでは4時間となっているが、荷が重かったためか、竜門
小屋まで5時間少々かかってしまった。小屋は二階建ての立派なものだ。しかし、昨年秋の
強風で外壁のブリキ板の一部が吹き飛ばされ応急処置がしてあった。
 昼食休憩をし、夕食のため雪で水作りをしてから北寒江山まで花の偵察に行くことにした。
多くの高山植物の開花までにはまだ一週間以上早いように見えた。しかし、主稜にはミヤマ
キンバイ、ハクサンイチゲ、シラネアオイが時を得た様に咲いて、ミネザクラはもう終わり
に近かった。今回の山行の最大の目的であったミネウスユキソウの開花はまだ始まったばか
りで、盛りになるにはあと一週間はかかる様に思われた。南寒江山の山頂近くが最も群落の
発達した所だろう。
 雪の状態は主稜の東側にはまだ豊富な残雪があったが、西側は深く切れ込んだ谷に残雪が
見られる程度であった。尾根筋の登山道には殆ど雪がなかった。北寒江山からの以東岳は
1,800mにも満たない山塊だが立派な山容をしていた。雪屁の残骸か、尾根の東側に巨
大なクレパスがところどころ目に付いた。撮影しながらの尾根歩きだったので小屋に戻った
のは7時を過ぎていた。私の他に5人の登山者がいたが、既に夕食を済ませ寝袋に入ってい
た。
 急ぎ晩酌と夕食を済ませ寝袋にもぐり込んだ。9時近であった。

6月6日(日)快晴
 快晴とは云っても靄がうっすらとかかった天気で撮影にはあまり良い条件とは言えなかっ
た。今日は西朝日岳まで行ってみることにした。西朝日岳山頂近くのイワウメの咲き具合を
見に行くためである。3時に起床して4時少し過ぎに小屋を出発した。日の出は4時15分
頃だったろうか。靄が濃いためか日の出直後の太陽の光は弱く、山が赤く染まることはなか
った。西朝日岳の南西にあるピークへは登山道はないが、かすかな踏跡があったので足を延
ばしてみたが、飯豊連峰がぼんやりと見えるだけで良い写真構図を得ることができなかった。
西朝日岳山頂手前でイワウメの群落を確認できたが開花にはまだ早かった。一つ二つの蕾が
絨毯のような葉の中から頭を出し始めているにすぎなかった。
  大朝岳の山容は西朝日岳からの眺めが最高である。しかし、早朝では大朝日岳の西面に日
が射し込まず良い写真にはならないと思い、しばらく待つことにした。待っている間、中岳
と西朝日岳の鞍部まで往復した。北東には月山と鳥海山がぼんやりと見えた。日が高くなる
とぐんぐん気温が上昇し真夏のようになった。
  竜門小屋に11時少し前に戻り、急ぎ昼食を取り下山することにした。小屋で地元の山岳
会の人と知り合いになり、下山をともにした。72歳になると言う彼の体力には敬服した。
若いときにマタギと共にした熊撃ちの話は面白かった。日暮沢小屋から竜門山に行く途中の
尾根に「ユウフン山」という朝日連峰の主峰が展望できるピークがあるが、彼の話によると
この山の名前は「ユウフン山」、漢字で書くと「熊糞山」だそうで、あまりに汚い言葉なの
で最近「ユウフン」と読ませるようし、地図にはカタカナで「ユウフン」と表記するように
なったとのことである。また、このピークは春先いち早く雪が解け草が芽吹くそうで、冬眠
から覚めた熊がこの中から下剤となる草を食べて、冬眠中の腹の中の老廃物を排泄し体調を
取り戻すのだそうだ。事実、4月下旬頃ここに来てみると今でも熊の糞が沢山あるというこ
とだ。
 重い荷の急坂の下りはきつく、膝が少々痛くなった。それでも竜門小屋から3時間半で下
山することができた。帰路、下山を共にした彼から聞いた「柳川温泉」で汗を流した。自宅
には着いたの10時を少し過ぎていた。


[反省]
  食料に不足はなかったが、ぎりぎりで持っていった食料は全て食べ尽くした。冬山でな
 くとも、あと二食程度は余分に持って行くべきであった。

                                以上報告いたします。