淺川です。
北海道山行報告-その3 を送ります。
 
6月29日 黒岳
 黒岳は、北海道の山で旭岳と並んで観光地化が進んだ山で、5合目までロープウェイが延びている。
標高1984m、このかいわいの山としては2000mを越えずあまり高い山ではない。しかし、こ山の人気
山頂から雲ノ平にかけてのお花畑にあるらしい。残念ながらこの時季では高山植物の花には早か
た。見頃を迎えているのはイワウメだけだった。しかも4、5日前の降雪で咲き始めたばかりのキバナシ
ャクナゲの花は無残にも枯葉のごとくしぼんでいた。
 
 5合目ロープウェイ駅に8時近くに着いたが、駅周辺は、こんな朝早い時間から観光客で賑わっていた。
しかし、リフトに乗り換えると観光客は姿を消し、僅かな登山客だけとなった。登山経験の殆どない
サンを何とか黒岳山頂まで登らせることができた。振り返って見ると雲の切れ間からニセイカウシュッペ
が姿を現した。観光地化された黒岳だが、周囲の山々は北海道にふさわしく奥深さを感じた。
 
 黒岳山頂は何の変哲もなく石ころだらけで広々としていた。雲がどんよりと広がり周辺の山の頂きを
折覆い隠した。写真右手山頂に雲がかかっているのが北鎮岳(2244m)だ。ここ旭岳をはじめとし
、いわゆる大雪山は特徴のない山ばかりだ。この山に、山容を日本アルプスのようなものを求めたら
望するだろう。写真に写っている登山道を進むと黒岳石室があり、さらに行くと雲の平だ。山頂から雲の
平へ向かって少し下った広い斜面は、冬、風が強く雪が積もらぬかわりに寒さがきびしい場所なのであ
ろう、イワウメが点在していた。
 
 
 ミネズオウがやっと咲き出していた。見つけた花に感動し思わずシャッターを切ってしまった。
しかし、この花の群落はそう多くはなさそうだ。
 
 
 
 
 まともなイワウメを見るのは初めてで、白い妖精にでも出会った思いだ。この花は早い時期に咲き出す
ので、梅雨が明けてからではまともな花は見られない。あちこちに沢山咲いていたが、なにせ2〜3cm
と背丈が低く岩に貼りつくように咲くので風景と組み合わせての撮影は難しい。
 
 
 黒岳から下山途中、ダケカンバ林の林床にエゾルリソウを見つけた。ルリソウより瑠璃色の鮮やかさが
淡いものの、初めての出会いのためか胸が高鳴った。
 
 
 
 その他、キバナシャクナゲ、エゾノツガザクラ、エゾノキンバイ、エゾツツジ、ヒメイソツツジ、クロユリ等も
撮影したがこれ以上の写真提示は無理なので割愛する。ただし、どれもがまだ咲き始めたばかりだった。
 お花畑としては、イワウメは黒岳山頂から黒岳岩室近くまで、そして雲ノ平一帯はキバナシャクナゲと
エゾノツガサクラの大群落が見事だ。そしてその合間にミネズオウ等の花が点在しているみたいだ。
花の多さは北アルプスの比ではない。満開のときにぜひとももう一度きて見たいものだ。
 この山の周辺は、穂高連峰のようなアルペン的山容を期待したら失望するかも知れない。しかし高山植
物の多さには圧倒される。美しい花たちに囲まれ、時間がゆったりと流れ、競争とはほど遠い世界に憧れ
る人には、たまらない魅力の別天地であるにちがいない。
 
 次は北海道山行報告-その4 を作成次第報告します。