北海道山行報告-その4(最終回)を報告します。
先にお知らせしたように、最終回の写真が多くなってしまいデータ量が大変大きくなってしまいました。
一般回線で受信される方にはご迷惑をおかけしています。これが最終回となりますのでご辛抱下さい。
以後の報告では写真は最大5枚を超えることのないよう心掛けますので今後とも宜しくお願いします。
 
 
  稚内から大雪山に移動途中、オホークツ街道沿で、放置された牧草畑にミヤマキンポウゲの大群落があった。
  この地は、平地でも関東周辺にしてみれば標高1000mに相当する気象条件らしい。コバイケソウも平地の
 湿 地のそこかしこで咲いていた。このお花畑に入って写真を撮っていると、雪原の真っ只中にいるときのよ
 うに眼がしょぼしょぼと眩しかった。 
6月30日、二ペソツ山登山
  昨日は、この旅でたった一度の旅館宿泊をした。国道273号線より1kmほど入ったところにホロカ温泉と云
 うひなびた一軒宿がある。泊まる予定はなかったが、ニペソツ山登山口に近くて、一泊二食付きで5,900円と
 いう料金の安さに引かれ、つい泊まってしまった。しかし、この温泉宿が今回の旅のいい思い出の一つとな
 った。 3時起床、4時丁度、十六の沢のコース登山口を出発した。昨日、地元の登山者に熊の心配はないと
 聞いていたが、鬱蒼としたエゾマツの中を一人で歩くには心細かったので熊除けの鈴をつけた。天狗のコル
 (写真右下の一番低いところ)のテン場あたりから樹林も小潅木帯になり登山者も何人か見かけられるように
 なったので鈴は外した。前天狗岳の手前で振り返って見ると、石狩岳が北海道の山らしくゆったりと横たわ
 っていた。このあたりからナキウサギがいると聞いていが鳴声さえ確認できなかった。
       登山道沿いにエゾノキンバイが咲きはじめていた。

  前天狗岳一帯は大きな石がゴロゴロしていた。そしてこれらの石に苔のようにへばり付き、白い花を咲かせ
 ているのがイワウメである。イワウメは盛りを少し過ぎていたが、ゴロタ石にへばり付いて咲く姿には感動を覚
 える。このイワウメの群落の大きさは、本州の山では見ることが出来ないであろう。中央奥はニペソツ山である。
          エゾノツガサクラもまだ咲き始めたばかりだった。
 イワウメの咲く前天狗岳を越えるとトムラウシ山があった。残雪はニペソツ山より多いようだ。今回トムラウシ
山に登るかニペソツ山に登るか迷ったが、地元の登山者の進めもあってここに来てしまった。
        やっとのことでウラシマツツジの花を見つけることができた。これもまだ咲き始め
       たばかりなのであろう。赤く染まったウラシマツツジを何度か見たことがあるが、
       花を見たのは今回初めてである。
  天狗岳の山頂を右手に回り込んで越えると、眼前にニペソツ山の本峰があった。北海道の山で唯一アルペン
 的風貌の山だそうだが、空が薄曇りのためか、山の迫力にいま一つ物足りなかった。登高意欲に胸が高鳴る
 のを感じることが出来なかったのは残念である。
          登山道沿いにエゾノアズマキクを見つけた。岩陰にひっそりと咲いていた。
         アズマギクより淡い青色をしていた。
  ニペソツ山頂より天狗岳を俯瞰する。こうしてみるとニペソツ山も火山の山なのだろうか。山頂では風もなく
 風除けもなくコンロが使えた。早めの昼食を1時間以上もかけのんびりとした。登山者は思いの他多かった。
 この山は独立峰なのだろう、展望は極めて良かった。十勝連峰、トムラウシ山、旭岳周辺の山々、石狩連峰
 等、北海道の名峰を幾つも確認できた。しかし、残念なことにこの日は大気の透明度が悪く、もやっとしてい
 て鮮明な写真を撮ることができず、この報告でこれらの山々の写真を掲載することはできない。山頂からほん
 の少し下がったところでナキウサギの声をはじめて耳にした。ジュッ、ジュッという結構大きな鳴声だった。
 しかし、ついに姿を見ることはできなかった。今日は登山者が多く警戒して姿を現さないのだとか。
   山頂には9時に着いた。途中30分以上も写真撮りをしていたので、登頂には実質4時間半はかからなかった
 こと にる。昭文社の地図のコースタイムでは6時間半となっているが、私はそれほど健脚でもないのでこれは
 少々多めのような気がする。下山は山頂を10時に出発して、写真を撮りながら登山口に1時45分に着いた。

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 北海道の山のについて
     たった3座だけ登って北海道の山について語るつもりはないが、感想を一言残しておこう。
  北海道の山に北アルプスのようなアルペン的要素を求めるとしたら失望するかも知れない。山全体が深い森に
  覆 われ原始性の多く残され山々には、ひきつけられてやまないものを感じた。山頂から俯瞰する裾野は鬱蒼と
 した樹林 に覆われ、人工物を見ることは殆どなかった。そしてなによりも、花の多さには驚かされた。残念なこ
 とに、まだ花の開花には早かった。できれば花の咲き乱れる時期に再度この地を訪れてみたいものだ。