花の山旅報告-その5(最終回)  7月25日 白馬山荘〜白馬岳〜小蓮華山〜白馬大池〜蓮華温泉

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 7月25日、いよいよ梅雨もすっかり明けて安定した夏空がやって来た。しかしこの日は、夜明け近く
まで雲一つない好天だったのに白馬山頂周辺だけが、朝の最も良い撮影時間帯にガスに見舞われてしま
った。朝焼けに輝く周辺の山々の撮影は諦め、山小屋をのんびり出発することにした。
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 皮肉にも白馬岳山荘を出発する時にはガスは晴れていた。山頂からすこし下ると、これから向かう小
蓮華山の稜線が気持ちよく伸びていた。小蓮華山の後方には妙高高原の山々が幾重にも連なっていた。
 昨日、真夏の太陽の下、美しい花求めて、夢中になって探しながら、あえぎあえぎ辿って来た山々が
今となっは懐かしい。写真は、手前左から鉢ヶ岳、雪倉岳、朝日岳だ。左奥の尾根のピークが前朝日だ。
前朝日からほんの少し右に行った所が朝日平で、かすかに朝日小屋が確認できる。この報告ではなるべ
く多くの花を掲載したかったが、今回辿った道筋の概要を理解して頂くためこの写真を掲載する。
 小蓮華山を少し下ったところにハクサンイチゲの花咲くお花畑があった。お花畑の後方に連なる山は、
右から白馬岳、杓子岳、白馬鑓ケ岳、そして八方尾根までは確認できるものの、後方に連なる五竜岳、
鹿島槍ケ岳等は山が幾重にも重なり合い識別が難しい。
 小蓮華山を越えると白馬大池が見えてくる。高いところから見るとこの池が、火口湖であることが良
く分かる。池に近づくに従い、雪渓とお花畑、そして紺碧の湖の組み合わせによって山上湖の雰囲気が
漂っていた。ロマンチックな旅心をくすぐり、女性を引き付けてやまない人気の秘密が分かるような気
がする。
 湖面に降り立ってみると更に山上湖の雰囲気が伝わってきた。水は澄んで青い空をそのまま映しこん
でいた。また一層雰囲気を盛り上げていたのは、池沿いの湿地に咲くハクサンコザクラと、蓮華温泉へ
の下山道入り口近くの草地に花咲くハクサンイチゲだ。ここはウィークディや連休のときには、多くの
登山者で賑わうのであろう。しかし、今日は平日、高校生の70名の団体が休憩していたが、那須の峰の
茶屋の賑わいに較べれば静かなものだ。ここでのんびりと昼食をとり蓮華温泉に下山した。
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 山に入って4日間、ほぼ予定通りのコースを歩くことが出来た。そして出会いたい花たちにほぼ会う
ことができた。天候にも恵まれ、満足の行かないことは、何時ものことだが満足のいく撮影ができなか
ったことである。これは写真を目的に山歩きをする者にとっての永遠の課題なのかも知れない。しかし、
満足した撮影ができなくとも、山に美しい花があり、感動する風景との出会いがあるかぎり、また山旅
に出かけることになるだろう。
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以上で、5回に渡って報告した「花の山旅報告」を終了します。