2002/8/6 〜 8  奥日光    撮影:浅川

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 8月6〜8日、あんまり暑いので奥日光に避暑(?)にいってきました。例会も欠席し失礼しました。避暑
とは云っても、何時ものカーホームレスのミニ山行です。一日目は高徳牧場手前の高級水洗トイレ付きの駐
車場、二日目は寝具付きの白根山避難小屋です。三日間、下界の猛暑を忘れるほどの涼しさでした。
ついでに黄色い花を見に日光白根山に行ってきました。黄色い花と云っても、どちらかというとあまり見栄
えのしないハンゴンソウとマルバダケブキです。しかし、大きな群落となると目を見張るものがあります。
あと一週間位は、まだ見頃と思われますので参考までに写真を掲載します。
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 8月7日晴れ
菅沼登山口から弥陀ヶ池に出る。今朝は快晴、朝のうちは半袖では寒いくらいだ。弥陀ヶ池までは樹林帯で
日差しが避けられ汗もあまり出さずにすんだ。弥陀ヶ池の水は、私が高校生のとき初めて訪れたときと同じ
ように澄んでいた。変わってしまったのは池の座禅山側に作られた木道と鹿害対策の電線、そして多くのハ
イカーだ。もう40年以上も過ぎてしまったが、ここに来ると、きまって初めて訪れた時の感動が蘇る。
阿弥陀様の住む庭園の池とは、よく名付けたものだ。 
 弥陀ヶ池から五色山、前白根山を経て白錫尾根に入る。五色山周辺から白根山と五色沼の写真を何枚も撮
ったが、あまり変わり映えがしないので割愛する。白根隠山あたりまで、東斜面はハンゴンソウの群落が続
く。ハンゴンソウの群落に混じってマルバダケブキもあるが、何と行ってもハンゴンソウが多い。この一帯
は四季を通じて私のお気に入りの撮影ポイントの一つだ。お花畑の奥に見えるのが男体山、その右隣に中禅
寺湖が見える。 
 白錫尾根の撮影を済ませ、前白根山の取り付きまで戻り、ここから水場に立ち寄って五色沼に下りること
にした。雨が降らず暑い日が続いたので、水が涸れているのではないかと心配したが冷たい水が流れていた。
五色沼に下りてみると、沼の東岸沿いにハンゴンソウが咲き競っていた。
 この日、白根山避難小屋に泊まるのは私を含め二人だけだった。薮蚊がいるかと蚊取り線香を準備してき
たが必要なかった。この夜は良く晴れて満天の星空となり、久々に天の川が良く見えた。下界の暑さが嘘の
ようで寒いくらいだった。
 8月8日、快晴
3時10分起床、3時半小屋を出発した。目的の撮影ポイントに4時に着いた。日の出まで長袖のシャツ一
枚では寒く、日の出が待ち遠しかった。天気は申し分なかったが風が強く花が激しく揺れて撮影に難儀した。
それでも朝日がお花畑に差し込む瞬間は何度経験しても感動するものだ。山岳写真を続けていて生き甲斐を
実感するのもこの瞬間である。この時間帯、山小屋やテントの中で食事をしている登山者には、山が最も美
しく輝く姿を知る機会が少ないのではなかろうか。
 太陽が高くなると紺碧の空となった。今日は、日本の夏特有の湿度が少ないためか空は透き通るように青
かった。オレンジ色がかったマルバダケブキの花が異様なほど青空の中に冴えて見えた。
 朝の撮影を済ませ避難小屋に戻り朝食とした。このまま下山してしまうにはもったいないほど良い天気だ
ったので、白根山頂を経由して下山することにした。山頂からは富士山もはっきりと確認でき、夏山として
はこの山から見えるであろう殆どの山が確認できた。
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白根山一帯は鹿が増え、鹿の別天地になって久しい。鹿にとってハンゴンソウとマルバダケブキは不味いら
しく、鹿害からまぬがれ大繁殖している。雪解けの頃を除き、美しく可憐な高山植物たちは見る影もない。
その代表例がシラネアオイだろう。ハクサンフウロウもこの池の周りや山頂一帯に可憐なピンクの花を一杯
咲かせていた。それが今では、まばらに確認できる程度だ。シラネニンジンは、かっては一面白くなるほど
あったものだ。しかもその名は、白根山の名に因んで命名されそうだが、これも今はおしるし程度しか確認
でない。鹿が大繁殖したのは地球温暖化が原因なのか、その原因を辿れば人害なのかは知らないが、その自
然のダイナミズムには驚かされる。何とか美しい花たちが戻ってきてほしいものだ。
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