2006/5/3〜6 高幽山(こうゆうやま)・山スキー 撮影:植木
《山行日》06/05/03〜06
《参加者》稲葉ズ、植木(報告 植木)
《日程》
5/3(水)快晴 安越又川 小沢山 稲子山
矢板6:00--小立岩8:00/8:36〜橋9:43〜小沢11:23〜林道から登りだす11:35〜雪がつながる12:15〜シールで
登る13:00〜1230mh尾根13:34〜小沢山14:39/15:10〜1322mh15:24〜1460mh15:55(泊)
5/4(木)快晴 高幽山
1460mh5:30/7:35〜稲子山トラバース8:00/8:15/8:46〜下梯子沢滑降〜BC設営9:25/10:21〜黒谷本流10:52/
11:08〜スギソネ尾根乗越12:00〜東実(うみ)沢ーー1127mh付近12:56/13:13〜高幽山15:04/15:37〜東斜面
滑降〜1127mh付近16:00〜スギソネ尾根乗越16:41/16:57〜黒谷本流17:15/17:30〜会津山岳会テント18:06/
18:26〜BC18:58(泊)
5/5(金)快晴 夕方曇り 坪入山
BC6:00/8:57〜上梯子沢〜1305mp10:25〜坪入山12:45/13:20〜東斜面滑降〜大トラバース〜1496m付近13:39/
14:11〜上梯子沢滑降〜BC15:32(泊)
5/6(土)快晴 のち 曇り 安越又林道
BC5:40/8:18〜上梯子沢〜1447mp近く10:48/11:24〜道行沢出合12:02〜林道〜小立岩16:58
《要約》数年前の稜線縦走の時からの念願の斜面「高幽山東斜面」は思った以上に遠かったが、滑った感動も
思った以上に大きかった。
《本文》
5/3(水)快晴
小立岩の駐車スペースで薪割りをしているおじさんに了解を得て車を止める。すると軽トラックに乗った釣
り名人猟師である別のおじさんが現れる。「沢筋はやめて尾根を行きな」とのアドバイスのとおり尾根から稜
線を目指すことにする。林道には思った以上に雪がありすぐにシールで歩き出し安心したが、橋を過ぎると林
道の崩壊箇所が多く見られるようになりツボで進むことが多くなった。小沢を何とかスノーブリッジでこなし
進むと何とか登れそうな尾根に出合い、少ない雪をつないでツボで登る。980mhからは何とかシールで登れるよ
うになる。小沢山にたどり着くと三つ岩、窓明、坪入が大パノラマで見える。稲子山への斜面は急で登れない
いのでは?と心配したが近づいてみると斜度はそうでもなくシールで登ることができた。しかし時間が押して
いるし稲子山の雪庇がとても大きく、越えるのに必要な時間が読めないので安定した尾根1460mhで今日は幕と
する。ブロックを作ってテントを張る。とても天気がよく気持ちのよい夜となる。
5/4(木)快晴
昨夜は放射冷却で思ったより寒かった。アイゼンで登るつもりの稲子山の斜面だったが、日光が当たるとす
ぐに雪が緩みシールで登高できた。左方面の雪庇がない部分に向けてトラバースする。稲葉ズさんは安全にス
キーを担いでアイゼン歩行。ツボ足の人もここで突破したようだ。稲子山の肩に登ると目指す高幽山がよく見
える。せっかくなので頂上付近まで登り写真を撮る。写真を撮り終えると下梯子沢を滑り、水が見えたところ
にBCを設営する。そして高幽山を目指す。上梯子沢と出合うともっとよい場所がある。今さら…。少し進むと
テントが!(あとで会津山岳会のものとわかる。)
黒谷川本流に出ると雪が多いとはいいながら、さすがにゴンゴン流れている。スギソネ尾根を下から巻ける
かどうか不安だったので、スギソネ尾根の鞍部を見つけて、そこを越えて東実沢に滑り込むことにした。尾根
の鞍部に雪はなく、少し薄い藪をこいだ。そこから標高の上がらないまっ平らな沢床を行く。1127mh上でやっ
と小休止。ここから尾根に取り付くことにする。坪入山方面からのデブリがすごい。
その尾根は取付が急で、はじめはシールで登っていたもののすぐさまツボ足に替えて登る。1260mhになると
緩やかな尾根になり目の前にドーンと高幽山の大斜面が見渡せる。さっきまで「まだまだ遠いなー」とテンシ
ョンが低くなってしまっていたが、いきなりピッチが上がる。たくさんの雪に覆われた尾根をどんどん登る。
森林限界を超えると距離感がなくなり、頂上はなかなか近づかない。最後の大地を右から巻き、フィルムクラ
ストを気持ちよく踏みながら進む。雪庇の小さいところをめがけて左にトラバース気味に登り、やっと高幽山
の頂上にたどり着いた。頂上には昨日の足跡の主である会津山岳会の小沼さんがいた。そこからは360度の展
望。山の真っ只中にいう気持ちよさに浸る。
とうとうあの斜面を滑る時間が来た。最初の小さな雪庇をまっすぐに入る。雪質は思ったよりグズグズでは
ない。スピードに乗って中回りで行く。しかし、その先にリップがあり大きく体制を崩して飛んでしまった。
後で気が付くがピッケルを奉納した。その先は大きく割れていたので右にトラバースして尾根状を滑ることに
する。稲龍さんは左の沢状へ、恵美ちゃんは右の沢状へと思い思いにラインが取れる。どこをどのように滑っ
ても楽しい斜面だ。振り返ると太陽がまぶしい。最後の沢床もこなし、デブリを渡りながら1127mh上の休憩地
点に戻る。予定の16:00ぴったりだ。
平らな沢床でも結構滑り尾根乗越地点に来る。1000mh台地を下りて本流に出ると新しいシュプールがある。
会津の人たちだ。最後の梯子沢の登り。疲れていてピッチは遅いが自動的に足が出るように登っていく。下る
ときに見かけたテントに顔を出す。彼らは今日は丸山岳を目指したが、沢が割れており何とか梵天まで行って
きたとのこと。去年も雪は多かったが今年はそれ以上であり、こんなに沢が埋まっていることははじめのこと
だそうだ。下山に使う予定の安越又林道の様子を聞く。かなりヤバイらしい。雪シロを汲んで最後の登り。テ
ントが見えてホッとする。暗くなったがヘッドランプは使わずに済んだ。
5/5(金)快晴 夕方曇り
今日もピーカン。坪入と窓明の二兎を止めて、坪入山を目指すことにする。上梯子沢を登り1305mpの尾根に
取り付く。ゆったりとしたブナ林の中を進む。今日は風が強い。大きな雪庇を見ながら最後の斜面を左にトラ
バースして稜線に出る。思った以上に風が強いが、昨日滑った高幽山の東斜面が見えてうれしい。坪入山手前
の斜面もよいが、やはり頂上直下の斜面のほうがよい。頂上についてみると何人かが休んでいた。やなりGW。
西方向を見ると高幽山への稜線はナイフリッジ状だし、その左の斜面もすごい。三つ岩北面も大斜面になって
いるのがわかる。滑ってみたい思いに駆られる。
最初の急斜面、緊張しながらもドロップイン。雪は程よく緩みターンしやすい。右に窓明からの長い稜線が
見える。おいしいところだけを滑り左に大トラバースをかけて上梯子沢に戻る。平らな尾根の1500mhあたりで
大休止。小林さんに電話をかける。上梯子沢は1ヶ所滝が出ており右岸を少し巻いた。雪が多いとはいえ、気
を付けなければいけない。下梯子沢を少し登って戻る。
5/6(土)快晴 のち 曇り
今日の夜から天気が下り坂との天気予報なので1日早いが下山することにする。斜面の中の小さな尾根に大
きな雪庇があり気を付けなければならない。1447mpの北側鞍部に出た。とにかく暑い。汗がだぁだぁと流れる。
雲が多くなってきた。高幽山たちにお礼と別れを告げ尾根を右にトラバースする。1447mpからの雪庇の崩壊が
恐ろしい。ゆったりとした尾根に出ると、窓明山の東斜面がすばらしい。来年のGWはここになりそうだ。道行
沢右岸の1296mpから出合いを目指しトラバースすると程なく林道終点の出合いに出た。
ここからは林道と高をくくっていたがとんでもなかった。さっそく雪壁である。稲龍さんが下見をしてみん
なで安全に通過する。次の半島状は雪壁を慎重にトラバースする。半島が終わると沢を乗り越えてからのガレ
ガレ交じりのトラバース。気が抜けない。おじさんたちが言っていた「ヤバイところは3ヵ所」を思い出す。本
当にヤバイ。つぎはどう見ても歩くところのない土壁のトラバース。右下には雪シロがゴンゴン流れている。
これも稲龍さんが下見をしてきてくれたところ、グズグズながらOK。もうおしまい?と思ったところ、今度は
崩れそうなブロックとグズグズのガレ場。もうやめてー。これを何とかこなすと登りに使った尾根に出てホッ
とする。小沢は完全に出ており、デブリまで上がって巻く。山スキーの快適さが消えかかっていたがせっかく
なので少しだけスキーにする。またツボ足になり小屋に出ると小沼さんが降りてきたところだった。雪の融け
る速さはすごい。何度かスキーを外して降りた。湧き水でスキーを洗い車に戻る。がっちりと握手をした。お
じさんは今日も薪を作っていた。湯の花温泉でほむらを落とし、おあしすで祝杯を挙げる。
(翌日むら湯でゆっくりするも体力は回復しなかった…。)