2006/4/10〜6/17  四国お遍路巡礼記   撮影:平石

p01.jpg p02.jpg p03.jpg p04.jpg p05.jpg p06.jpg p07.jpg p08.jpg p09.jpg p10.jpg p11.jpg p12.jpg p14.jpg p13.jpg

【期間】
   2006年4月10日〜6月17日 69日間

【参加者】
   平石謙太郎(単独)

【日程】
   九州18キップ旅 〜 4.10徳島県鳴門市 〜 4.25高知県室戸岬(24番最御崎寺)
   〜 5.06足摺岬 〜 5.09愛媛県40番観自在寺 〜 5.18道後温泉  
   〜 5.24石鎚山 〜 5.31香川県66番雲辺寺 〜 6.11香川県さぬき市88番大窪寺
   6.15徳島港〜フェリー〜和歌山県高野山6.16 〜京都東寺 〜夜行バス・電車・徒歩
   〜 6.17帰宅  総歩行距離1826q

【参拝寺院・宮】
   四国霊場八十八ヶ所    88ヶ所 

   四国別格二十霊場     20ヶ所 

   番外霊場(含.曼陀羅霊場・讃岐観音霊場・奥の院・他)  120ヶ所  合計228ヶ所 +
   高野山奥の院御廟・京都東寺

【要約】
   以前から行きたかった”お遍路”に人生の新たな第1歩として発心(出発)。徳島県鳴門市から出発し、
時計回りに霊場を巡りながら四国を一周する巡礼旅です。一般的に四国霊場八十八ヶ所だけを巡れば40日間
1200qと言われていますが、寄り道に寄り道を繰り返し69日間という贅沢な時間を過ごしてきました。



【説明】
   四国霊場八十八ヶ所・・弘法大師の修行の事跡を集大成して築かれたものです。それは衛門三郎が大師の
背中を追って四国を回ったことが初めとされています。お遍路さんは、白装束を身にまとい、笠をかぶり、金剛
棒を持って歩きます。「同行二人」という言葉があり、修行中は常にお大師さんと一緒という考え方で金剛棒は
お大師さんなのです。万人が目指すオーソドックスな霊場がこの八十八ヶ所です。
   別格二十霊場・・・上の八十八ヶ所以外に特に大師にゆかりのある霊場で合計108ヶ所で「百八煩悩消
滅の旅」としています。
   番外霊場・・・・上記の108ヶ所の他に大師にゆかりのある霊場が約130ヶ所あり、奥の院や修行場
などがあります。また、その中には神社も幾つか含まれていました。

【本文】
4月11日  「発願の日」 
 始発の列車で駅に降り立つとそこは台風か?!というぐらいの超暴風雨!!記念すべき一日目は、この旅一番
の試練の日でした。最初に参拝した一番奥の院:東林院で住職から「今日打ち始めならもう怖い物はないな!!」
と励まされ大雨の中、気持ちよく歩けました。結局その日は夕方まで天候は落ち着きませんでした。

4月12日  
 昨日はお寺の通夜堂(お遍路のために雨風をよけられる部屋を用意していてくれる寺があり、申し出ると休ま
せてくれる)で通夜させていただきました。今日は昨日と違ってスーパー晴天!!4月の気持ちよい風に吹かれ
て距離を稼ぎます!!しかし、歩きながら考える事と言えば”食うこと””野宿先”ばかり。。。余裕はありま
せんでした。。。

4月13日  「番外霊場:高越山」
 番外霊場の高越山山頂にある高越寺を目指す。H1133m。四国の山登りはほぼ海抜からの登高です。
約20sのザックが容赦なく体力を減らしていく・・・。今思えば四国遍路で最大の試練は荒天や野宿ではなく、
パートナーのバックパックだったかもしれません。
 低山ながらも地元のハイキングクラブでやってるのか登山道はきれいに整備されていて歩きやすかった。
(コースタイム記録忘れ)。山頂に着くと濃いガスに覆われ残念ながら視界はゼロでした。晴れていれば淡路島
が見えるとのこと・・・。残念!!

4月14日  「名物:善根宿鴨の湯」
 高越寺を下り、お遍路の間で有名な鴨の湯に向かう。ここはほとんどの歩き遍路が寄ると言われている善根宿
(善意で宿泊所を提供してくれる)である。11番手前にあり。入浴料も360円とお安く、設備も充実。一緒
になった仲間達と夜中まで話が尽きなかった。

4月15日  「遍路ころがし」
 今日は11番藤井寺から12番焼山寺までの山道。ここは、お遍路さんの間では「遍路ころがし」といわれ難
所とされている。累積標高約1090mの遍路道である。悪戦苦闘!!と言うほどではないが、以外と厳しい・・・。
鴨の湯を一緒にスタートした山口君とひーひー言いながら登高する。天候は暴風でひどく寒かった。その日は地
元の方に教えていただいた峠道の大師堂で休む。トイレもあり水もあり最高!!

4月17日  「名物善根宿」
 16番観音寺の近くには名物善根宿があり一夜の宿を貸していただける。設備の充実以上に社長のキャラクター
が最高である。えげつない話をするもその裏に若いお遍路さんを心配している一面が見え、その人格に気持ちが
安らいだ。とにかくセクハラ社長だった!!

4月18日  「ついに・・・」
 朝歩き出すとどうも左足親指に違和感がある。ついにきたか!!見てみると親指の外側が紫になっている。。。
靴ずれた。。。。とにかく今日はダメだ・・・。サンダルに履き替えだらだらと歩く。左足をかばい、右足も痛い・・・。全ての人に言われていたが。。ついにきたか・・・。誰も通る登竜門である。。しかも運悪く明日は山道である。

4月19日  「つちのこ」
 番外霊場:星の岩屋をめざし痛い足を引きずりながら歩く。。しばらく舗装された道を登っていくと手書きの
標識に「つちのこ生息地」とある。めちゃめちゃ興味を引かれながらも足の痛みにテンションが上がらず通り過
ぎてしまった。そこから中津峰山(773m)を越え如意輪寺を参拝しピーク付近の東屋で一泊する。その夜は
「つちのこ」が頭から離れなかった。。今でもつちのこ捕獲行動に出なかったことを後悔しています・・・。

4月20日  「穴禅定」
 今日はいったん下山し別格3番慈眼寺(H660m)を目指します。ここは「穴禅定」で有名なお寺です。是
非やってみようと意気揚々に到着すると3人以上集まらないと3000円!!高い・・・。貧乏遍路の私には何
とも厳しい金額。。!!半ば諦めかけていると、ご夫婦お遍路さん登場!!すかさず近づきご一緒させていただ
く。。3人集まり、1000円で行けました!!肝心の穴禅定はというと、これがまたすごかった。。狭い洞窟
の中をろうそくを持っていくのですが、先導のおばあちゃんの指示通りに着いていかないと体が通らない。。
「はい!次は左肩から入って膝を曲げて頭から斜めに立ち上がりながら抜けてください〜」そんなのを延々30
分続けて行くのである。ありがたみのある修行場でした。。1000円の価値有り!!

4月21日  「自然への感謝」
 昨晩降った雨がもやをつくり、木々の露が朝日に輝きキラキラしていました。今までも見てきた光景。当たり
前の景色。でも違うんです。それを捉える気持ちが・・・。妙に感傷的になって歩きました。この瞬間を見せて
くれた自然に感謝しました。

4月22日  「お接待」
 四国には”お接待”といわれお遍路さんに対して施しをする風習があります。それは、施しをすることでその
お遍路さんと共に功徳を積めるとされているからです。お大師さんの教えです。ですから”お接待”は受けるの
が当たり前ではなくその時縁あってのものです。近年メディァにより四国遍路の報道が多く流れお遍路本来のあ
るべき姿を理解せず四国に来る方が増えているそうです。お接待を当たり前の物と思って・・・。
 昨日は道ばたで会ったおばさんにお弁当を3食分も持たせていただきました。おまけにジュース代といってお
金まで・・・。初めてのお金のお接待に動揺しました。遍路に対するあまりにも素直な対応に感謝する事以外何
もできず、ただぼっーと歩いていました。感謝しそれをまた誰かにつなげていく。大切なことです。その心を忘
れたら・・・持ってなかったら・・・この”お遍路”で経験できる貴重な体験は無になってしまうと思います。
偉そうな事言っていますが正直、貧乏遍路の私は得した・・。という気持ちがありました。まだまだです。感謝
の心。奥が深い。。

4月23・24日  「海岸歩き〜煩悩との戦い」
 23番薬王寺を過ぎてしばらく行くと太平洋の海岸線にでます。23番薬王寺から24番最御崎寺までは88
番巡礼中2番目に長い歩行距離75qです。しかも、店が少ない。とにかく暑い・・。ここで一気に真っ黒にや
けた。しかし、海沿いを歩くのも気持ちいいものでした。特に霊場のないこの道はある煩悩との戦いでした。
この時期、四国全域でコーラ500ml・100円キャンペーンだったのです。甘い物が大好きな自分はとにか
くコカコーラの自販機が見えてくると足早になり通り過ぎるとペースダウンを繰り返していました。食うのだっ
てギリギリなのにジュースなんてもってのほか!!自分に言い聞かせ黙々と歩くのでした。

4月25日  「室戸岬」
 室戸岬の高台にある24番最御崎寺には昼過ぎに着きました。お勤めを終えて夕日が沈むビューポイントを探
しゆっくりしました。この余裕にやっと慣れてきた。出発した頃は常に焦っていて先へ・・先へ・・という気ば
かり。。野宿先を探すのに慣れ、歩くことに慣れ、やっとお遍路本来の旅が出きるようになってきた頃でした。
待ちに待ったサンセットはさほどではなく。しずしずと退散し岬の先でテントを張りました。

4月26日  「ついに・・A」
 大師は室戸岬の洞窟で3年間?の修行をしたそうです。きっと大師も見たであろうご来光を自分も見ている。
なんでもないことだが時代が変わってもこの光は変わらないだろうと思うとすごく得した気分になりました。
そんなことを考えて休憩していると後ろでメキメキメキ!!ザックが倒れてくっついていたお遍路笠が下敷きに・・・。
大破。。ついに・・・。一気にテンションダウン。捨てるのもイヤだし家に送ることにする。。。!!!送料
1580円!!なんじゃそりゃ!!高い!笠ごときに!!と思いとどまったが、ここまで一緒に旅してきた笠に
敬意をはらい大人しく出費する。

4月27日  「コーラ飯盒」
  27番神峰寺への遍路ころがしを越え、またしばらく海岸歩きをする。海岸沿いでは煮炊きが出きるのでう
れしい。前にあったお遍路先輩からいくらか米を貰っていたのだ。そのやり方がサバイバル!!空き缶2個をい
いあんばいに切断し二つ重ねてふたが出きるようにする。すると1号ほど炊ける飯盒になるのである。すごい知
恵だぁ!!と、そこで空き缶2本が必要になる。。。。これは仕方ないよなぁ〜なんてつぶやきながらコーラの
自販機へ・・・。煩悩に負けているくせに変な理由で正当化して納得していた。。。重ねた缶を落ちていた針金
で巻き、石で横にならない程度の炉をつくり流木を燃やす。以外に出きるものである。火力が足りず少し硬かっ
たがやはり日本人は米を食わないとダメらしい。。空き缶は2かい使用が限界っぽい。安く米を食う事ができる
が海岸沿いでないとできないのが弱点である。

4月29日  「桂浜」
  高知市の市内をかすりながら31番竹林寺は五台公園という高台に上にある。そこで桂浜の場所を教えて貰
い32番禅師峰寺を経て桂浜には3時過ぎに着いた。GW入りで観光客が多い。そんな中大荷物を背負って金剛
棒を持つ自分はきっと浮いていただろう。そんなことも関係なく、一人龍馬像に見とれて時間をつぶした。「あ
んた、かっこいいすよ・・・」自然に言葉がもれました。桂浜の夜は静かで荒々しい波の音も心地よいものであ
った。

4月30日  「作務」
  35番清滝寺には2時過ぎには到着。早めに通夜堂には入らせていただく。時間も早かったのでお坊さんに
何かお手伝いはあるか聞き境内の掃き掃除をする。一緒になった埼玉の大学生とぺちゃぺちゃしゃべりながら広
い境内を掃く。やり始まるとなかなか終われないもので結局7時過ぎまでかかってしまったが充実した時間だっ
た。ふだんの生活で持てなかった余裕がこういった当たり前の仕事をゆっくりできる。素晴らしいと思った。

5月1日   「熱く語る住職」
  途中ふと立ち寄った山のお寺でごつい住職に呼び止められ話をする。今日はここに泊めてくれるとのこと!!
縁があったとしか思えない。夜、住職のもとに相談にきた若者達と一緒に酒の席に居させたもらう。仏教を熱く
語る住職に圧倒され、自分の仕事のことなんか話すと一生懸命聞いてくれて心からうれしかった。頂いた鰹のた
たきとビールも最高にうれしかった。。結局この日2時過ぎまで住職はパワフルに語っていた。

5月3日   「気の合う仲間達」
  ここの所、ペースが合い一緒になるお遍路さんがいる。今日で3回目同じところで野宿。縁だなぁ。そう思っ
たら急にお接待したくなって近くのコンビニで奮発して生ビールを買う。お遍路に出たら身分もくそもない、だか
ら歳の離れている二人ともあんなに仲良くなれたんだなぁと思う。

5月4日   「感謝」
  二日前に連絡があり、母と妹が四国に来るとのこと。心配して様子を見に来てくれたらしい。この日は20q
程度の歩行。中村のまちの中を歩くのでじっちゃんばっちゃんとお話しする機会もなく。あっという間に着いて
しまう。四万十川のほとりで昼寝なんかしてゆっくりする。母の来訪にちょっと恥ずかしかったが、自分は幸せ
だと思った。旅館に泊めていただいたからではなく、自分を心配してくれる親の存在にただただ感謝する日でし
た。
ビール!!旨かった!!

5月7・8日 「足摺岬」
  足摺岬は室戸岬と違って断崖絶壁!GWで観光客の多いこと・・。ちょこっと観光して通り過ぎる。88ヶ
所巡礼では足摺岬にある38番金剛福寺から戻って39番に行く打戻りコースと月山神社参拝して39番に行く
コースとに分かれる。戻るなんてイヤだ!!遠回りでも月山神社コースに行く。しかし、足摺を出発する頃に降
り出した雨は次第に強くなり、体力を消耗させられました。しかし、行き着いた月山神社は静かでとても良いと
ころでした。  

5月9日  「最長歩行」
  天候・野宿先を考えるとどうしてもこの日は最長距離を歩かなければならない。いつもより2時間早く4時
出発。宿毛を越えて40番観自在時まで58q。長かった。。 大体毎日歩行距離は30q程度に予定している。
ギリギリの距離を設定してしまうと歩くだけで一日が終わってしまう。それではあまりにももったいない。札所
をゆっくり見て、畑仕事をしている地域の人とお話しして、気に入ったところで立ち止まって・・・。そういう
余裕がこの旅を濃いものとすると思ったから。この旅は急ぎ競うものではなく、そういった忘れてた心の余裕を
取り戻す旅にしようと思ったのです。。この日はご褒美にスーパーでお菓子とビールを買いささやかにお祝い、
幸せでした。

5月10日 「後悔・・」
  朝、道の駅で目を覚ますと予報通りの大雨・・・。朝からテンション上がらず歩き出す。今日は柏坂越えと
いう10qの峠越えの予定だったが暴風雨で山から流れ出す沢がすごく増水している。。こりゃダメだ・・・。
山道をあきらめ、国道を歩く。それでも強い向かい風にへとへとでした。結局コース変更に伴い番外霊場を3ヶ
所行けず後悔の残る日でした。

5月12日  「善根宿・宇都宮」
  一昨日、宇和島の町中を抜け順調に進んで今日は一日かけて番外霊場の薔薇大師を往復し43番明石寺を打
つ。途中お遍路さんに聞いていた善根宿「宇都宮」にお世話になる。1000円で2食いただき風呂・洗濯・清
潔な寝床をいただける。民宿以上かも・・・。久々の暖かい布団ゆっくり休めた。おばさんも本当にいい人でし
た。

5月13日  「駅野宿」
  朝から雨降る中「宇都宮」のおばちゃんの「ゆっくりしてったら・・・。」の一言に心揺らぎながら出発。
明日予定のお寺が山の上なので登山口に近い伊予平野駅に野宿する。駅宿泊はマナーを守って使うことが大条件
だが、それを守れず野宿禁止の駅も時々見られた。悲しいことである。又、時々若者が集まってくるが逆にこち
らから話しかけてしまえば結構フレンドリーになって問題はない。色々話ができて楽しかった。

5月14日  「十夜ヶ橋」
  朝市で駅から別格7番の金山出石寺を打つ。下山し別格8番十夜ヶ橋へ。ここは大師が宿を借りられず橋の
下で一夜を過ごしたが寒くて一夜が十夜に思えたというところからきている。橋の下には寝大師があり、そのス
ペースは野宿していいことになっており、ござも貸し出している。しかし、鳩が沢山で糞だらけ・・・。軟弱者
の自分は通夜堂をお借りしぬくぬくとお布団で休ませていただく。近くにでっかい温泉もありいいところでした。。

5月16日  「岩屋寺」
  昨日、地域の方のご好意で大師堂に泊まらせていただき、今日は45番岩屋寺を目指す。岩屋寺はこれまた
山の中にあるお寺です。以前ガイドブックで岩屋寺の紅葉の写真を見ており、とても楽しみにしていたお寺でし
た。あいにくの雨でしたが、お寺に着く頃には雨も上がりもやのかかるお寺が神秘的でつい時間を忘れて眺めて
いました。しかし、写真は難しい・・・。その、神秘的な風景は思ったように写真に納めることは出来ませんで
した・・・。
 
5月17日  「友だち」
  昨日休んだ東屋でも一緒になった人が居たが、この旅でここまででかなりの人と友だちになった。全て一期
一会である。まれに、道連れでずっと一緒に行く人もいるようだが、ほとんどの人が2日3日は一緒でもお互い
一人で歩けるように気を使う。自分にも旅が終わってからまた会いたいと思う人もいる。でもお互い一人で歩く。
そういう友だちが出来ることがうれしかった。


5月18日  「道後温泉」
  松山の市街地に近づくと久々の都会にテンションも上がった。47番八坂寺から始まり48番〜51番石手
寺まであっという間に過ぎてしまう。石手寺は道後温泉にすぐ近く観光客の多いお寺でした。どこか不思議な感
じのするお寺で気に入りました。
 今日はこの旅、初めての有料宿泊をします。道後温泉にゆっくりつかってゆっくり休みたかったからです。温
泉の近くにある松山ユース・相部屋2600円・・。部屋に荷物を置き、松山の市内へ。久々の都会に気がゆる
みついつい吉牛に・・。歴史ある温泉につかり、ついついお酒にも手が出てしまいました・・。いい気分で休み、
贅沢な一日でした!!
 
5月19日  「みかん王国」
  4月中徳島辺りでも沢山食ったが四国はとにかくどこにでもミカンがある。無人販売所で伊予かん6個入り
100円なんてのがざらである。愛媛に入り時期的にももうないだろうと諦めていたがなんて事はない、ここは
愛媛ミカン王国。。遍路道沿いには遍路ねらいの無人販売所がつらなっていた。賢くない消費者の私はまたも重
いぶんたんを買い込みひーひー言いながら歩くのでした。
 
5月20日  「瀬戸内海」
  ここまで瀬戸内海の海岸沿いを歩いてきた。天気が良かったのもあるが、瀬戸内海はきれいでした。水がき
れい。波も穏やか。きれいな景色に自分も入れたくなり海岸沿いで自分撮りに精を出してしましました。

5月21日  「58番仙遊寺」
  今治の町中を抜けサティで献血するとジュースが貰えてうれしかった。今日は58番仙遊寺というお寺の通
夜堂にお世話になりました。夜は護摩炊きがあり参加することができていい経験になりました。しかも、通夜堂
利用者にも関わらず温泉を使わせていただき感謝でした。

5月22日  「タオル王国」
  朝、お勤めに参加させていただき住職に「がんばれ」と言われて気分良く出発。今、思えばこの旅で八十八
ヶ所霊場の住職と話したのはここだけだったと思う。他の八十八ヶ所霊場では住職と話すチャンスはなかった。
厳しい人だったが気持ちのいい人でした。
 空は真っ青に晴れわたり足取りも軽かった。59番国分寺の前のタオルやさんでアイスクリームをお接待され
る。しかも、タオルに好きな言葉を刺繍してくれて頂いた。なんて手の込んだお接待!!頭が下がる思いだった。
後で聞くと今治はタオル工場が日本一らしい。納得しながら歩く。
 
5月24日  「霊峰石鎚山」
  昨日番外霊場巡りをして遍路道沿いの東屋に休んだ。今日はいよいよ60番横峰寺〜石鎚山登頂である。
小松町から横峰寺に上がるコースは台風災害で遍路道が崩れているとの事だったが思った以上に復旧されており
問題なく上がることが出来た。
  
 コースタイム::小松町大頭東屋5:30−横峰寺7:30/8:00−河口(今宮道入口)9:15/9:30
−奥前神寺11:50−成就社12:15−二の鎖元13:45/14:30−山頂14:45/17:00−
二の鎖元テント場17:10

 東屋を出発し、しばらく車道を歩くと山道への登山口に着く。災害復旧工事のため階段で山中に入る。昨日の
雨で足下は悪かったが、特に危険な個所もなく横峰寺まで歩ける。横峰寺は山間の静かなお寺で朝早かったので
誰もいなかったのでゆっくりお勤めできた。朝市の人がいないところでお経をあげるのが何とも好きである。納
経所で石鎚への登山道の状況を聞き出発。H800mの横峰寺から一旦、石鎚山登山口の河口H200mまで下
る。河口で石鎚から下ってきた皆川君と出会う。番外霊場でお遍路さんと会うと何とも親近感がわく。活発明朗
とはこういう人だなという男で気持ちのいい人だった。うれしくなって気持ちよく出発できた。ここからH19
82m霊峰石鎚山を目指す。樹林帯を淡々と歩き高度を稼ぐ。さわやかな風に助けられていつの間にか石鎚神社
成就社に到着。ここからまた、一旦200mほど下る。この微妙な下りが体にすごい負担だった。ここからの山
頂までがほんとに遠く感じた。三の鎖に到着。でっかいわっかの鎖がぜ絶壁に垂れ下がっている。荷物を持った
まま登り始める。半分くらい行ったところで下を見て後悔した。この荷物背負って登るところじゃない・・・。
どうにか越え二の鎖元へ廃墟になった山小屋の屋根のある休憩所にテントを張り荷物を置いて二の鎖に挑戦!!
軽くなったザックは快適で問題なく登れた。山頂には石鎚神社がありそこでは御朱印帳に御朱印がもらえる。登っ
た証だ!!これが貰えるのをホントに楽しみにしていた。頂上で日が沈むのを見ようと時間をつぶしていたが日
が暮れるに連れてガスが濃くなってきた。諦めてテントに戻る。今日は累積で2680mの登高・・・。疲れた
が山頂で貰った有り難い御朱印に疲れも忘れていた。

5月25日  「霊峰石鎚のプレゼント」
  昨晩はすごいガスでテントの外は視界ゼロでした。しかも寒くて起きると気温2度・・・。シュラフカバー
しか持ってこなかったのでありったけ着て寝ましたが寒かったです。。
  4:20起床期待もせず外を見てみるとガスは晴れ東の空が赤みがかっている!!いける!!急いで準備し
4:40山頂へ。東の空がどんどん赤くなっていく。すごい雲海!!すごい!!霊峰石鎚はこの自然の中でこの
上ない素晴らしい光景を与えてくれました。目が離せない。風が強いのも寒いのももう関係なく刻々と変わって
いく景色に見とれ写真を撮りまくっていました。6:30天狗岳にいき7:00下山。心惜しい。晴れ渡った空
の元ゆっくり片付けし下山する。

 コースタイム::二の鎖元9:15−成就社10:15/11:20−河口13:05

成就社の公衆トイレで洗濯しザックに洗濯物をくくりつける。歩きながら乾燥である。以外に良く乾く。下山す
る頃には乾いていた。途中番外霊場に寄り人里までおりてくる。伊予小松駅まで戻り駅野宿。近くのスーパーで
買い出しをする。異変。元々、魚が苦手な私。実は刺身もほとんど食えない。しかし、どうした今日は自然に鉄
火丼に手が伸びてる!!なんか急に食べたくなり買ってしまった。自分でもびっくり。しかも美味しかった。遍
路は偏食さえなおしてしまうんだなぁ。。。
 
5月26日  「寺巡りと石鎚温泉」
  今日は駅中心に61番から64番と番外霊場が3ヶ所あるのでゆっくり寺巡りをして一日を終える予定。雨
も降っていたので早々と野宿予定地:石鎚山駅近くの石鎚温泉に到着する。ゆっくり温泉につかる。んっ・・・。
んっーーーーん?!なんか痩せてる??すかさず体重計にのる。!!!体重62s!!出発時が76sだから
14s減!!10年ぐらいぶりに見た自分の体に見入ってしまった。歩くというのは素晴らしいダイエット効果
があるんだなぁ〜。
 
5月27日  「田植え」
  今日は鹿児島:開聞岳で会ったKさんに会いに来ました!昼過ぎくらいに新居浜に到着し久々の家庭料理を
頂きなんとお礼を言ったらよいか・・。ホントに美味しかったです!!午後は田植えのお手伝いをしました。も
ともと実家の周りは田んぼだらけ。農作業にはなれてます!!久々の農作業がめちゃめちゃ楽しかったぁ。お遍
路に出てきて遠い四国の地で田植えを手伝う!!なんて良い経験!!この縁に心から感謝です。。しかも夜はし
こたま飲ませて頂きなんと言って良いのやら・・。また、遊びに行きます!!

5月29日  「平石山」
  昨日65番三角寺麓の素晴らしい東屋に野宿し朝市で三角寺を打ちました。今日のメインはここではありま
せん。昨日、ふと地図を見ていると遍路道からはずれたところに「平石山」の文字が!!!これは行かなければ!!
 三角寺をさらに登り、峠道に出ると地図にはない林道が平石山の北側まで走っている。そこから地図に従いピ
ークを探す。。ありました。しょぼい・・・。展望はなし。標もいつ設置されたかわからないようなのがポンと
三角点の横に落ちていました。それでもテンションは高く写真を撮っておりました。平石山制覇!!
 
5月31日  「66番雲辺寺」
  昨日野宿した公民館のコンビニで貰ったパンを食べながら66番雲辺寺を目指す。昨日は別格15番の箸蔵
寺に行ったためお遍路さんにはほとんどあわないコースで目指す。88ヶ所では最高標高の910mである。静
かで居心地のいいお寺でした。さぁ、いよいよ最後の県、香川県に入っていきます。うどん王国です。食いまく
ります!!
 
6月2日   「マルナカ万歳!」
  マルナカというスーパーが四国では全域で幅をきかせている。規模的にはオータニ(栃木限定かな?)くら
いだが、その数が半端じゃない。とにかくどこにでもあるのだ。しかも安い。マルナカがあると用がなくても入っ
ていってしまう。惣菜が安い!ご飯を100円で買い60円のコロッケを買う。160円のお昼ご飯。色々な惣
菜を試すのが密かな楽しみであった。マルナカ万歳!!
 
6月3日   「濃い一日」
  お世話になった通夜堂を清掃し出発する。6:00くらいには別格18番海岸寺へお参りする。そこからし
ばらく行くとうどん屋さんの中から呼ばれる。おっかなそうな声だぁ・・。おそるおそる入っていくとおっかな
そうなおっちゃんがいた。話してみるといいひとだ!!朝7時からビールをご馳走になりテンションも上がった。
しばらく話してうどんも頂き9:00頃歩き出す。あぁ〜。自分は酒を飲むと歩けなくなるのである。からっと
した気持ちいい季候なのにどうも足が出ない。だらだらと歩きやっとの思いで75番善通寺の近くまでたどり着
くももう5:00。。善通寺は明日にして今日宿泊予定の善根宿を目指す。マルナカでアイスクリームを買い食
べながらぼっーと歩いていると突然何かに吹っ飛ばされた!!気がした・・・。横断歩道で右折車両にこつかれ
たのだ・・。なに?車にひかれた??お遍路に出てきて車にひかれた!!こりゃいいネタだ!!そんなことしか
頭になかった。加害者は動揺していたがこっちはかすり傷一つない。おもしろかったのはぶつかって倒れても食
べていたアイスだけはこぼれないように守っていたのだ。どんだけ食い物に執着してるんだ?!自分の体よりア
イスかぁ・・・。情けない。。
 
6月4日  「金比羅さん」
  昨日は善根宿にお世話になりここから荷物を置いて往復35qの別格17番神野寺・金比羅さんに行って来
た。荷物がかるいとホントに楽。金比羅さん階段ではお遍路さんが托鉢をしていた。御椀の中を見るとお札がごっ
そり入っている。休日ともあって観光客がどんどん入れるのである。この『托鉢』については旅中、色々な人か
ら色々な考え方を聞いたが私としては僧侶になる過程での修行であり素人がやることではないと思った。  
金比羅さんを出て意外と早く戻ってきたので昨日行けなかった善通寺にも行ってくる。ここは88ヶ所の中でも
別格で総本山と言うこともありかなりでかかった。観光客の多さにたじたじしながら巻き込まれないようにゆっ
くり見学してきた。夕方には宿に戻る。この宿が素晴らしい。米と炊飯器があり食べられるのだ。助かりました。
水シャワーも
最高!!
 
6月7日  「暑い・・・」
  ここ最近6月に入ってから日中はとんでもなく暑い。。栃木の真夏のようである。。毎日晴天が続きバテバ
テ
になりながら歩く。香川に入ってから山道が少なく生活道を歩くことが多いのもバテさせる一つである。今日は
83番一宮寺を打ち高松市内にやってきました。しばらく歩くと『吉牛』発見!!疲れもたまってるし、高松市
内入り記念にと、よくわからん理由で入ってしまった。急に元気が沸いてくる!!高松の市内は遍路道から外れ
ている。四国巡礼の地とはいえ浮いているように思ったが高松駅のサンポート高松を目指した。以前会ったお遍
路さんから『夕日が最高』と聞いていたからである。海岸の公園できれいな灯台のあるウッドデッキを地元の人
たちがゆっくり散歩している。自分は何者??と思いながら夕日に見入りお酒を飲む、最高の夕日と最高の時間
だった。

6月8日  「山田屋うどん」
  85番八栗寺の上り口にはお遍路さんの間では有名な『山田屋うどん』があった。立派な店構えにもかかわ
らず値段はお手ごろ。ぶっかけうどん¥270・冷うどん¥530。。なんて贅沢!!ここの所、旅の終わりが近づく
につれて今まで節約してきた分の無駄遣いが目立つ。。情けない。。

6月9日  「お遍路交流サロン」
  86番志度寺・番外長福寺.霊之寺・87番長尾寺を経て88番大窪寺手前に『お遍路交流サロン』がある。
遍路についての資料館である。自分はここまでお遍路を続けてきたのにその歴史については何も理解していなか
ったので真剣に見てしまった。その日は隣の東屋で休む。

6月10日 「結願寺・大窪寺通過」
  ここから88番大窪寺は6km程度である。四国霊場最後の寺である。大窪寺への山道を歩くと大窪寺の裏手
から入ることになる。ここではお勤めしなかった。院内を通過して山門で挨拶し別格20番大滝寺を目指す。や
はり大窪寺を最後にしたかったのです。大滝寺登り口の夏子ダムの休憩所で休む。

6月11日 「結願」
  夏子ダムから大滝寺の道は長らく刈り払いしてないので通行不能と聞いていたがそんなことはなかった。藪
ほどではなく印もある。快適に登ることができた。お勤めをして13:00頃には88番大窪寺に戻ってきた。
  山門をくぐり階段を進むと正面に本堂が見えてくる。境内の横のほうにはベンチがある。荷物を投げ出して
ベンチに座り込みました。見上げると若葉が青々とし、いよいよ夏の空を感じさせる。出発した時はこんなに綺
麗な緑じゃなかった。もう二ヶ月もたったんだと実感した時だった。まだ終わりたくない・・・そんな気持ちか
らなかなかお堂に足が向かなかった。納得しない気持ちがあったからこそまずはこれを終らせようとお勤めをす
る。 しかし、旅はこれで終わりではない。まだ残る番外寺がある。気を抜いてはいけない!!

6月13日 「四国一周」
  昨日、総奥ノ院と呼ばれる與田寺をお参りし、今日はいよいよ出発地の1番霊山寺に戻ります。大板峠は時
期的に蚊がすごかったが瀬戸内海がきれいで素晴らしい眺めであった。あっという間に一番寺霊山寺に到着する。
四国一周である。最後、最初の寺にお参りに行く『お礼参り』というのがありますが、今日は時間がなかったの
で明日にすることとして休む。

6月14日 「お礼参り」
  1番寺霊山寺には早朝出向きお礼参りをする。しかし、私がほんとにお礼参りに行きたかったのはこの旅の
最初にお参りした1番奥ノ院の東林院でした。最初の日、住職から作法を教わり、出掛けに交通安全のお守りを
ザックにつけてくれました。そのお守りは旅中ボロボロになってもしっかりザックにくっついていました。残念
ながら住職は不在でしたが納経してくれた若い僧にお礼を言って四国での旅を終わりにしました。



6月16日 「高野山奥ノ院御廟・京都東寺」
  昨日、徳島港から和歌山港に到着し、今日は高野山奥ノ院と京都の東寺にお参りする。本来、東寺は四国巡
礼に行く前に報告に行くというのですが知らんかったので仕方ない。高野山は朝早く行った事もあり観光客はほ
とんどいなかったので静かにお参りすることができた。お大師さんの墓があるということもあって厳粛な雰囲気
で身が引き締まりました。京都の東寺をお参りして最後の納経をもらい帰路に着きました。


【感想】
  約二ヶ月間歩くことで一番大切と思った事は『食うこと』です。始まって2週間くらいは余計なお肉が体に
たまっていたせいか体は動きましたがそれ以降はきちんと食わないと体が動かないのです。一日500円生活を
していた私には厳しかったです。一日一食は必ず米を食べるようにしていました。 
 今回の巡礼では約1800kmの歩行となりましたが、一日約30kmを歩く上で靴擦れが一度だけだったと
いうのは幸運でした。一般的に遍路の間では市販されているウォーキングシューズが良いといわれていますが値
段的には一万を越えるものがほとんどです。また、登山靴を使う人もいましたがアスファルトの道路で使うと一
足丸々潰してしまう事になります。どちらももったいない。その点ニューバランスの703シリーズは価格的に
もネット価格6000円。踵のクッションも強く通気性も良いので濡れてもすぐ乾く。もともとトレイルランニング
の入門靴ですが価格以上の高機能です。この靴のおかげだと思っています。
 荷物に関しては出発前から散々聞いていたにもかかわらず余計な物を持っていたおかげで最後までザックが試
練でした。どんなときでもそうですが荷物は軽いほうがいい!!
 心配していた「野宿場所」については心配していたほどではありませんでした。一概には言えませんが東屋や
休憩所、お寺など探せばどこかしかあるものです。おかげで帰ってきてからも知らず間に野宿適所を見つけてし
まします。。野宿に関してはマナーを守って地域の人に迷惑をかけないことが絶対条件です。



【旅を終えて】
  仕事を辞めて新しい自分を探す旅は、それ以前に日常そのもののありがたさに気づかされる事から始まりま
した。今までの日常から離れ、「寝ること」「食うことの」の心配をしながら歩き続ける。今までそんな心配し
たことない。どれだけ恵まれた日常を送っていたかが身にしみてわかりました。仕事があること、仕事ができる
丈夫な体があること、生きていること。。考えていくと自分が今ここにいる要因すべてに感謝することができた
のです。親がいたから自分がここにある。当たり前のことですがすっかり忘れてしまっていたことです。それに
気づくことで先祖を供養する信仰の心もでてきました。もちろん一人だけでそこまで考えられたわけではありま
せん。行く先々でお会いした住職や僧侶の方々のお話しあってこその事です。 また、四国の方々の親切にも助
けられました。それは肉体的にも精神的もです。道行く人と一言二言交わす、それだけでも一人旅の支えになる
ものです。ある僧からお聞きした事です。「親切はとめてはいけない。つなげて下さい。誰かに親切にされたら
同じだけ親切をしてください。」わかりやすい事だけど難しいことだと思いました。まだまだ未熟な自分には難
しいけど実践してみようと思った言葉です。   そんなことを考えながら歩くも69日の旅を終えて思うこと
は『自分は何も変わっていない』ということだけです。変われなかったというよりも『当たり前の事』に気付け
ただけで十分だったのです。感謝の心を忘れずこれからの人生楽しもうと思います。ちょっと宗教っぽくなっ
ちゃいました。。