2003/11/18〜19 北八が岳 しらびそ小屋 撮影:小林
月日 H15年11月18日〜19日 小林 充(単独行) コース 稲子湯10,20〜唐沢橋10,34〜屏風橋10,56〜水場11,49〜しらびそ小屋12,15 久しぶりの単独行なので、緊張したが登山靴を履いたら気持ちが落ちついた。稲子湯の駐 車場はガランとしていて、静かな山旅を味わいそうな雰囲気である。今朝の冷え込みのせ いか、木道の上にはべったりと氷がついている。 二、三度林道を横切ると唐沢橋に着く。車が20台ほど置ける駐車場だが、車上荒らしに ご注意の看板があった。ここはシャクナゲ尾根コースの分岐点にもなっている。 ここからひと登りで屏風橋だが、かなり汗をかいたのでシャツ一枚となる。小豆のたっぷ り入った最中を一個食べるがこれが又美味しい。山はこうでなければ楽しみがないもんだ と自分に言い聞かせる。丸木橋を渡ると山道となる。落葉松の葉が2〜3センチ降り積も ってまるで絨毯の上を歩くような感触がどこまでも続く。駒鳥沢の水場に手作りの 道標があった「はっても30分」の文句には疲れが飛ぶような癒しの言葉ではないか。 ジクザクの道を登ると「犬」の鳴き声がしてきた。うずたかく積まれた薪の陰に小さな みどり池としらびそ小屋があらわれた。古びた小屋の後には新館も出来、懐かしきが様変 わりしていた。池に映る天狗岳は凛々しく明日の登頂に期待が膨らんだ。 小屋で今夜の受付を済ますと、お茶に「かりんとう」のお茶請けがでてきた。ストーブの 周りにうろうろしている「犬」の名前はラッキーと言いかわいそうに両目失明していた。 暗くなっても登山者は無く、今夜は私と小屋番と犬一匹のようである。 天候は下り坂の予報で、天狗岳の稜線がだんだん見えなくなってきた。風も出てきたらし くすきま風が雨戸を鳴らす。夕食はストーブの脇に二人分の料理が並び、差し向かいで食 べる。食前酒がお代わりしたいほど美味しかった。昔 夏沢峠に泊まったときには「目玉 汁」とふりかけの夕食に?雲泥の差ですねと、小屋番と笑う。 寝る前に星空を見ようと外に出る。久しぶりに眺める星座は本当に美しい、空気が澄んで プラネタリウムの中みたいな感じである。急に満天の星の一つが、青白く爆発した。 時間にして1〜2秒 ワッ! 抱きつきたいほどの感激の一瞬であった。 興奮さめやらぬまま、二階の屋根裏部屋にいく。40人収容の小屋なので、仕方がないが 真っ暗闇である。明かり窓が一つあるだけで、梁を跨いで寝床に入る。夜中風の音で目を 覚ます、時計は11時前である。ヒュー ガタガタガタ ガタン もう!寝られたもので はない。朝までまんじりともせず、夜明けを待った。 朝食はパンが出た、昨夜洋食、和食どちらが良いですかと聞かれたので、洋食と答えたか らである。小屋のコーヒーが美味しいと聞きかじっていたので、正解であった。 天狗岳、厚い雲のなかである。今日は山に登っても何も見えませんよと、小屋番に言われ る。何処か見るところありますか?と訪ねると、「苔」の素晴らしいところ有りますから 案内しますと言うので、行くことにした。 小屋からはほど遠くないところに、入り口のテープがあった。岩が多いので気を付けてく ださいと言って、小屋番は帰っていった。シャクナゲの多い道で、足下にはコケモモがた くさんあった。苔は素晴らしかった、木にも岩にも苔が張り付いて、夏の盛りにはもっと 繁茂しているのではなかろうか?6月のシャクナゲと合わせると北八が岳の良さを 満喫出来そうな感じがする。硫黄岳も天狗岳も稲子岳も相変わらず雲の中だけど 満足出来た山旅となった。帰り道では、単独行の若い女性と自転車に乗った若者に出逢っ た。今度は春になったらスノーシュウで来ようかなと思いながら、稲子湯を目指した。