1)さらに小さいものを求めて

今まで説明してきたアンテナチューナーは、市販のQRP用といわれるものから見ればかなり小型ですが、
それでもQRPトランシーバーRock−Miteから見れば充分大きく(写真をご覧下さい)、どこまで小さく
できるか試してみました。

最初にお断りしておきます。
これは試作でありなんとか実用には耐えますが、再現性からは失敗作です。

40×30×20のケースに収めました 内部の様子

2)回路構成

 小型化のために機能を絞りました。
 今までのチューナーはミラクルホイップアンテナの機能が中途半端だったので、今回はミラクルホイップに
 限定しました。
 回路図は小型アンテナチューナーの【b】ポジションで、12接点スイッチの変わりに摺動子を使ったもので
 す。このため部品は、トロイダルコアに巻いたコイル・スライド機構・ケース・端子のみで構成されています。
【スライダックと同じ機構です。】
 (a)コイル:トロイダルコア T−94−6 に φ0.5のワイヤーを69ターン(負けるだけ巻いた状態)
       摺動子でこする関係上、巻線にすき間があると接触不良となることから、密巻にする必要が
       あります。また巻いた後で側面を接着剤で固めます。
       密巻にすることから巻き数が増えてしまうので、透磁率の小さなコアにする必要があります
       が、手持ちの関係で1個だけ残っていたT-94-6を使いました。
       これでもインダクタンスが大きすぎ、さらに透磁率の小さなものにする必要があります。
       最後にブラシの当たる面をヤスリで磨き被覆をきれいに剥がします。

 (b)摺動子:ブラシは出来るだけ面で接触し、巻線1本で接触するだけでなく左右両隣にも接触する
       くらいの方が接触不良を避けられます。
       工具が限られているのでいろいろ考えた挙げ句に、低抵抗の大型ボリュームが抵抗体に
       巻線を使い、ブラシでこすっている(丁度このチューナと同じ様な)構造であることを思いだし
       早速2種類ほど買ってきました。(100オームのもので形状が違うもの。壊してしまったの
       でものと写真は撮れませんでした。)

       ボリュームからニッパで壊し取り出したものが下の写真です。



3)組み立て

   接着してあるために分解して写真をお見せすることが出来ませんが、構造は下記のようになります。
   なお、上記写真の軸と、外側にタップを切ってある筒のすき間に、軸が抜けないようにするための
   リング(正式な名前を知りません。リングの一部がかけているものでバネ性がり抜くことが出来ます)
   を抜き取っておく必要があります。下記のように組み立てた後で、接着剤が乾いたら再度取り付け
   ます。


  摺動子の形状により、曲げ具合や長さの調整はカットアンドトライが必要です。
  後は配線を済ませて完了です。

4)使用感

  これにはマッチングの検出回路がありませんので、FT-817専用ということで使っています。
  初めに作った「小型アンテナチューナー」の「ミラクルホイップアンテナもどき」と性能はほぼ同じと
  いえますが、コイルの巻き数が多すぎる関係かアンテナの長さによってはSWRが下がらない時
  があります。

  一番の問題は、ブラシからアンテナ端子への配線が動くことから、半田付け部分での断線が多い
  ことです。シールド線の外皮を使うなどの工夫が必要ですが、ケースの厚みがぎりぎりで蓋が閉ま
  らなくなるため断念しています。もう一回り大きなケースであれば対応可能です。

  今度秋葉原に行って丁度いいケースが見つかればコアの材質の変更も含めもう一度チャレンジ
  する予定です。

  以上でアンテナチューナーに関する紹介は終わりますが、性能改善等の変更があれば、随時
  内容の更新を行います。