14MHz 3個のICで作るトランシーバー

第1回 送信部

 遅れていましたがやっと準備が出来ましたので、順を追って説明します。(12月t16日掲載開始)

  使用ICは 74HC240(VXO、ファイナル、サイドトーン他)
         オペアンプ(低周波アンプ)
         3端子レギュレータ(電源)
  の3個です。ちなみにミキサーはダイオードによるバランスドミキサーを作ります。

実験後はケースにそのまま組み込むために、回路周辺にはスペースをもうけています。
不要部分は最後にカットします。

1)はじめに 
  以前にNoCalの"38 Special" の回路を見てロジックICで送信機を構成しているのに感心しました。
  受信部をダイレクトコンバージョンに変えれば自分でも出来そうに思えていました。
  出来るだけシンプルに(VXOで可変は10KHz程度)しながらもそこそこの性能を狙って、時々は実験を
  して準備をしていました。
  しかし発表するとなると、ロジックICの送信部は方形波を扱うためスプリアスだらけのはず。測定も
  しないで、と言うわけにはいきません。「泥縄だ」「本体よりも準備に金を掛けるのは本末転倒だ」と
  いわれようとも、スペアナが必要になりました。それに数百mWを測るパワー計も。
  運良くホームページで見つけたのがGigaSt(ギガサイト)というスペアナのキットです。
  申し込んでからしばらく待ちましたが入手でき無事完成、そうなるとリターンロスブリッジも欲しくなり
  これも作りました。ついでに1uH以下を測るブリッジも・・・という訳で肝心のトランシーバーの着手は
  遅れてしまいました。

2)コンセプト
  1)IC、TRの数を減らしプリント基板を起こさなくても簡単に作れること。
  2)74HC240を使い14MHz 出力は0.2W(現在のところ0.1Wです。)
  3)VXOとし、可変は10KHz(±5KHz)
  3)14MHzモノバンドなので移動にはダイポールアンテナが張れる前提とします。
   そのため、無理に受信感度を上げるよりは、ダイオードによるバランスドミキサーで中波の通り抜け
   対策らしき機能を持たせ、必要に応じてRF−AMPを追加します。
  4)サイドトーン内蔵

3)回路図(送信部)

 3)−1 回路説明他
  A) 74HC240は2つのブロックに別れています(図中のA,B)。 Aは制御端子19番ピンで制御でき
    GNDに接続する事で常時オン(動作状態)になっています。
    Bは1番ピンで制御され、キーダウンの時には動作し、アップの時は出力はハイインピーダンスです。
    これにより、VXOは常時動作となり、ファイナルとサイドトーンの出力はキーが押され他時のみ動作
    する事になります。

  B)発振回路は「株式会社 多摩デバイス」の「初歩的な技術資料」を参考にさせていただきました。
    74HC240で試してみると、発振が不安定(発振がスタートしないことがあった。)なことがあり、
     ・帰還抵抗は1Mよりも47K
     ・発信器の出力の負荷容量がある程度(20PF)ある方がいい
    事が解りました。そのため、当初はVXOの出力とファイナルの間にバッファをいれてた方がいいと考え
    ましたが、急遽上記のように変更しました。
    また、水晶と直列に入るコイルは大きさ(Qの問題か?)により、同じ容量でも極端に周波数が変わ
    るものがあります。大きめ(Qが高い?)のものを使ってみて下さい。
    VXOの可変範囲は約10.5KHzでした。

  C)サイドトーンが不要の方は、Bブロックを使っている部分をファイナルに流用して下さい。出力が増加
   します。(その時Aブロックの使わない入力はGNDか電源に接続して下さい。)

  D)「予備」とあるのは、送受切り替えやミュートの回路によっては、キー端子の電圧とは逆の信号(H/L)
   が必要になる事があるため用意してあります。

  E)終段のコイルはトロイダルコア T37−6(黄色) に巻いています。扱う電力が小さいので、さらに下
   のランク(T25)でもOKですが、小さすぎて巻くのが辛いのであえてT37にしています。

 3)−2 出力
  「200mWは軽く出る」と思っていたのですが、残念ながら100mW強でした。
  これは電源電圧にも関係します。
  N7KSB氏によるとホームページ http://www.madisoncounty.net/~kj5tf/n7ksb.html において 
  74HC240を 7.8〜8.0vで使うように説明してありますが、例えばFAIRCHILDのMM74HC240は
  最大定格が7.0Vとなっています。
  出力は欲しいが壊れるのが心配、というわけで現在7.6Vで使っています。
  東芝 三端子レギュレ−タ TA78DM08S は手持ちを測ったところ8.2Vありましたので、使うのはやめ
  LM317Tで7.6vにしています。
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